2008年(平成20年) 6月1日(日)付紙面より
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酒田市堤町の最上川スワンパークで31日、同市の酒田第三中学校(高梨俊廣校長、生徒635人)の生徒有志が白鳥の好物「マコモ」を植栽した。
マコモは川辺などに自生する水草の一種で、白鳥ら水鳥たちの好物。スワンパークでは、白鳥の貴重な自然食となっている。水の浄化にも効果があるという。
白鳥の保護・観察活動を展開している同市白鳥を愛する会(碇谷啓二会長)は毎年この時期、同市を流れる新井田川や最上川上流域からマコモをスワンパーク一帯に移植。1993年からは自然を愛する心とボランティア精神を養ってもらおうと、酒田三中の生徒にも参加を呼び掛けている。今年は愛する会役員が事前に、スワンパークの上流約1キロの地点からマコモ約500株を採取していた。
作業には1―3年の生徒有志約100人と愛する会役員らが参加。愛する会の碇谷会長、池田昭三副会長から移植の方法を教えてもらった後、生徒たちは通称・白鳥島に渡り、50センチほどに成長したマコモを植栽。30分ほどの作業でスワンパーク一帯は緑一色になった。
高梨校長は「殺伐とした世の中。人と人がかかわり合いを持つこのような活動を大事にしていきたい」、碇谷会長は「生物や環境を愛する心を生徒たちから養ってもらえたら」と話していた。
酒田三中の生徒たちがスワンパークにマコモを移植
2008年(平成20年) 6月1日(日)付紙面より
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官民連携で開発されたハウス用ペレットストーブの完成発表会が30日、かんぽの郷酒田で開かれた。運転費用が石油ボイラーの7―4割安とあって、原油高騰の中で、農家の生産コスト軽減を図るものと期待されている。
このペレットストーブ開発の発端は2006年3月、酒田市の呼びかけで発足した地域エネルギー導入検討協議会。農家の生産コスト削減などを狙いに、同市と県庄内総合支庁、庄内みどり、市袖浦両農協、ペレットを生産している渡会電気土木(本社・鶴岡市、渡会昇社長)がメンバーとなり、検討に乗り出した。
開発には、個人でペレットストーブ用バーナーを開発していた酒田市郡山の農業、阿蘓武さん(58)が全面的に協力。昨年1月から燃焼試験、同12月から実証試験、その後、庄内地方の花き農家ら15人によるモニター利用で改良を重ね、完成にこぎつけた。
完成したストーブは発熱量が最大2万2500キロカロリー。一度に最大でペレット60キロを搭載でき、最長で約30時間、連続稼動する。運転費用を石油ボイラーと比較すると、設定気温15度では約4割安、同5度では約7割安になる。100坪程度のハウスなら1台で対応できるという。
ストーブは「e・ペレ」と命名された。「e」はエコロジーと「良い」をかけたものという。定価は55万円で、受注生産方式で今年8月ごろから販売する。すでに庄内の花き農家を中心に九州や四国など全国から、計約100台の予約が入っている。
この日の発表会には地元の行政や農業関係者ら約100人が詰め掛け、関心の高さをうかがわせた。
県発明考案振興会員でもある阿蘓さんは「停電時に発生する煙の問題を解決するのに苦労した。停電時の作物の凍結防止などのため、石油ボイラーと併用すればなお良い」とする。
渡会電気土木の渡会社長は「原油価格の高騰が追い風。地元農家の役に立てれば」と話す。同社では、マツクイムシの被害に遭った地元のクロマツや杉などでペレットを生産しており、クロマツだけでストーブ約300台分の燃料は供給できるという。価格は1キロ当たり32円程度。
同社は今年7月末、酒田北港の県臨海工業団地で、ペレット原料となる木材の集積地として約7000平方メートルの土地を購入、事業を拡大する方針。
酒田市農政課では「花の暖房や、野菜の作期をずらした高値販売にも生かせる。昨今の原油価格の高騰ぶりでは、所得向上までは難しいかもしれないが、所得の維持・確保には結び付くはず」と期待を寄せる。
同市では本年度、地元産材の活用を狙いに、ペレットのストーブ、ボイラーを導入する場合に、10万円を限度に設置費用の3分の1を助成する新事業を創設、導入を促進していく。
発表会でハウス用ペレットの特徴を解説する開発者の阿蘓さん