2009年(平成21年) 8月4日(火)付紙面より
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「世界のアトリエ」と称された20世紀初頭のフランス・パリで活躍した画家らの作品を通し「20世紀絵画」のたどってきた道を紹介する「パリを愛した画家たち展」が2日、酒田市美術館(石川好館長)で開幕。初日から大勢の絵画ファンが訪れ、マルク・シャガールやマリー・ローランサン、ベルナール・ビュッフェら著名な画家の名画の数々に見入っていた。
20世紀初頭のパリには、欧州だけでなく世界中の画家が訪れ、それまでの写実技法や伝統的主題に束縛されない、自由で斬新な作品を発表。こうした画家たちは「エコール・ド・パリ」(パリ派)といわれ、日本では藤田嗣治がその1人として世界的な評価を得ている。
今回は、「エコール・ド・パリ」を代表するモーリス・ユトリロ、シャガール、ローランサンらの作品とともに、ビュッフェらフランスを代表する画家、梅原龍三郎ら日本の代表的洋画家の作品など計77点を展示している。
ローランサンの「楽器を奏でる従者と女性」は、横たわる女性を中心にした艶やかな雰囲気と、暖色、寒色が絶妙に配置された力強い背景がマッチ。モイーズ・キスリングの「ミモザ」は、油彩ならではの絵画技法で花びらをわずかに盛り上げるなど、花の持つ特性を生かした作品。同美術館名誉理事長の新田嘉一平田牧場会長のコレクションの1つ、ベルナール・カトランの「白いばらの床の間」は、白色を背景に白いバラの花を描いた作品。浮かび上がってくるような花の質感が面白い。
初日午前にはオープニングセレモニーが行われ、石川館長が「今年の企画で一番のもの。前日には花火で前祝いをしていただいた。文化の酒田、山形、東北を楽しんでほしい」、新田名誉理事長が「この展示会は地域の活性化につながると思う。皆さんの目で見て明日の酒田をどうしたらよいか考えてほしい。私も楽しみにしている」とあいさつ。阿部寿一酒田市長、河北新報社(本社・仙台市)の一力雅彦社長、東京都八王子市の東京富士美術館顧問の浅見茂さんの3人が祝辞を述べた。
8月22日からは、漫画家や作家ら123人が絵画的手法を駆使し自らの戦争体験を表現した作品を集めた展示会「私の八月十五日展」も同時開催される。「パリを愛した画家たち展」「私の八月十五日展」とも9月13日まで(会期中無休)。
初日から大勢の絵画ファンが訪れた