2009年(平成21年) 3月27日(金)付紙面より
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「食」をキーワードに、都市部の住民と農村の生産者が農業体験を通して交流を図る宿泊型研修「食財ニッポンプロジェクト」が、鶴岡市内を中心にした庄内地方で行われた。26日まで3泊4日の日程で、首都圏在住の男女7人が産直施設や農家レストラン、食用ヒツジや赤ネギなどの生産者の元を訪れ、現場の苦労や地産地消などについて学んだ。
人材の育成や派遣支援で農村活性化を図る農林水産省の事業「田舎で働き隊!」の助成を受け、東京都内のマーケティング会社が都市部と農山漁村のつなぎ役として企画。都市住民を対象に農業体験をコーディネートし、就農のきっかけづくりや生産者の販路拡大などを図る。
参加者は首都圏在住のペンションやレストランの経営者、会社役員など男女7人。23日に鶴岡市下山添のカフェ「イル・ケッチァーノ」で行われた開校式では、奥田政行オーナーシェフの講演を聴いた。24日は同市内の産直施設や庄内町の蔵元などを見学した。
3日目の25日は午前中に鶴岡市羽黒町荒川の丸山農場(丸山光平代表)で、ヒツジの飼育を体験。親ヒツジにだだちゃ豆のさやの餌、子ヒツジにミルクを与えた。その合間には、丸山代表から生産現場の厳しさなどを聞いた。
研修に参加した広告会社経営の40代女性は「庄内は素晴らしい農業者がたくさんいる一方、農業全体が厳しい状況にあるため元気がないように感じる。良いものを作っているが、手間暇がかかるため事業の拡大に二の足を踏んでいる人も多いのでは」と話していた。
一行は26日に鶴岡市内でアサツキの収穫体験を行った後、閉校式を経て帰途に就いた。
ヒツジに餌を与える参加者たち=25日、鶴岡市羽黒町
2009年(平成21年) 3月27日(金)付紙面より
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生花店の「花蔵」(鶴岡市東原町、みうら生花店支店)に勤務するフラワー装飾1級技能士の三浦淳志さん(43)が、今月20―23日に神戸市で開かれた第25回技能グランプリ(中央職業能力開発協会など主催)のフラワー装飾部門で最高賞の内閣総理大臣賞を受賞した。同部門での最高賞受賞は県内で初。三浦さんは「多くの人から協力を頂いたおかげ」と喜びを語っている。また、染色補正部門で酒田市寿町の中谷敬さん(中谷しみ抜き店勤務)が敢闘賞を受賞した。
技能グランプリは熟練技能者が技能の日本一を競う大会で、特級、1級、単一等級技能士の資格を保有していることが出場の条件。隔年開催で、今回は「和裁」「建築配管」「表具」「日本料理」など31職種に全国から過去最多の計554人が出場した。三浦さんは県選手団の1人として前回(2007年度)に続き2回目の出場となった。
フラワー装飾の競技は21日に行われ、24都道府県から39人が出場。2時間20分の制限時間内で「ブライダルブーケ」と「立食用卓上装飾花」をそれぞれ1点制作し、作品の優劣を競った。
このうちブーケでは、多くの出場者がスタンド(高さ約50センチ)の先に付いたマイク状のブーケホルダーにそのまま花を飾ったのに対し、三浦さんはホルダーを分解。内部の球を2つに分け、それぞれにスプレーバラやストック、ミスカンサスなどを飾り付け、スタンドからワイヤでつり下げてサクランボのような形に仕上げた。高い技術力や大胆な発想、白と緑のシンプルな色彩ながら豪華さがあふれている点などが高く評価された。
また、トレリス(格子状のフェンス)や花入れを大胆にあしらった卓上装飾花も注目を集めた。
三浦さんはフラワー装飾部門で1位を獲得。さらに31職種を「繊維」「建設」などの4部門に大別し、各部門で1位受賞者の中から特に優秀と認められた人に贈られる内閣総理大臣賞に一般部門で選ばれた。また、表具部門で長井市の表具店が1位を獲得するなど、三浦さんを含め県選手団7人のうち5人が入賞した。
三浦さんは「前回は、基本的な技術でミスをして入賞すらできなかった。内陸で同業者と練習会を開き、いろいろアドバイスをもらったことが今回の受賞につながった。今後は後進の力になるなど花を通じて恩返しをしたい」と話した。
三浦さんが制作した独創的なブライダルブーケ