2009年(平成21年) 3月8日(日)付紙面より
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酒田市山元の坂本集落に春の訪れを告げる伝統行事「でごぐり百万遍念仏」が6日、集落の鎮守・坂本貴船神社で繰り広げられた。地区民らが長さ約10メートルもあるワラ製の巨大な数珠「念仏綱」を床にたたきつけたり、体にこすりつけ豊作や身体堅固を祈願した=写真。
「でごぐり」とは「たたく」という意味で、念仏綱をたたきつけることで邪気や病魔を追い払うとともに、豊作を願い念仏を唱える。以前は地区の若衆が総出で100万回も念仏を唱えたという。春を告げる神事として集落に古くから伝わっている。近年はワラをなえる人も少なくなり、参加者もお年寄りが中心だが、変わることなく毎年3月6日に行われている。
この日は午後1時半ごろ、地区民ら14人がワラをなって作った長さ1・5メートルほどの綱を持って同神社拝殿に集まった。持ち寄った綱を1本につなぎ合わせ念仏綱にした後、「ナムアミダブツ」の念仏と鐘の音に合わせて車座になり、回し始めた。持ち寄った綱1本ずつに付いている「ナデ」と呼ばれる飾りの部分を床にたたきつけたり、体にこすりつけ祈願。わずか30分ほどで綱はぼろぼろになり、拝殿にワラくずが飛び散った。拝殿には多くのアマチュアカメラマンらが訪れ、盛んにシャッターを切っていた。
元の長さに解かれた綱は参加者各自が持ち帰り、ササやスギの葉、ネギなどとともに飾り、魔よけとして庭木などにつるした。
2009年(平成21年) 3月8日(日)付紙面より
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鶴岡市の致道博物館(酒井忠久館長)に、庄内に繁栄をもたらした北前船の文化を紹介する「北前船と庄内」の展示コーナーが設けられた。弁財船と呼ばれた北前船の約6分の1の模型=写真=などを展示し、10日にオープニングセレモニーを行う。
やまがた出羽の国「庄内」地域活性化コンソーシアム(代表・新田嘉一北前船庄内社長)が、経済産業省の広域・総合観光集客サービス支援事業の採択を受け、その一環で整備した。同博物館の敷地内にある「民具の蔵」の一部を改修し、照明設備を増設するなどして展示スペースを確保。これまで展示してきた北前船関連の資料のレイアウトを変えるなどして、より見やすくした。
同市加茂の春日神社から昭和40年代に寄贈され、同博物館で収蔵していた江戸時代の弁財船の模型(長さ約3・5メートル、幅約1メートル)のほか、長さ約2メートルの「四爪(よつめ)錨(いかり)」、航海の安全を祈って奉納された「船絵馬」、紙製の「出船手形」、木製の「船鑑札」や「水夫宿」の看板、竹製の望遠鏡、船箪笥(ふなだんす)、酒田市の日和山公園にある方角石といった航海に関係する写真パネルなど約30点を、解説文を付けて展示した。
コンソーシアムの新田代表は「北前船は庄内に大きな富と繁栄をもたらした。その歴史と文化の紹介を通じ、広域観光振興につなげたい」と話し、同博物館の酒井忠久館長は「庄内にとって重要な役割を果たした北前船関係の展示コーナーが立派になり、うれしく思っている。多くの人に訪れてほしい」と話している。