2009年(平成21年) 5月19日(火)付紙面より
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行く先々で植樹をしながら徒歩による日本列島縦断に挑戦している英国・マンチェスター出身の環境活動家、ポール・コールマンさん(54)らが16日まで1泊2日の日程で酒田市を訪問。16日午前は同市の若草幼稚園(大滝宗徳園長、園児175人)を訪れ、園児たちとともにミズナラの苗などを植樹、「木があるからみんな生きていける。木はみんなの友達」と呼び掛けた。
「Earthwalker(地球を歩く人)」と称されるポールさんは、自然環境保全、世界平和に向けた活動の一環として1990年から、18年余りにわたって世界中を歩き植樹を行っている。これまでに39カ国を訪問、植樹した樹木は1000万本を超えるという。
徒歩による日本列島縦断は、国連が制定する平和の記念日「国際平和デー」の9月21日に沖縄県那覇市で開催される平和の祭典「セレブレーションアース」に向け、日本各地に樹木計1000本を植えることで、自然環境保全とともに、平和の貴さをアピールするのが狙い。ポールさんは、今回の祭典を含め「国際平和デー」の中で行われる各イベントをプロデュースするNGO「カルチャー・オブ・ピース・イニシアチブ」の平和大使も務めている。
今回の挑戦は「セレブレーションアース・ウオーク」と題し、今年3月20日に北海道小樽市を出発。ポールさんの考えに賛同し、2003年から活動を共にしている中渓(なかたに)宏一さん(神奈川県)ら約10人の日本人がサポートしている。本県入りは今月4日で、金山、真室川、鮭川、大蔵、大石田の5町村を経て同13日に庄内入り。翌14日にかけ遊佐町内で植樹した後、15日に酒田に入り、同日は大滝園長が副住職を務める持地院に宿泊した。
若草幼稚園での植樹作業には、園児や卒園生計約30人が参加した。ポールさんが「木を植えると、その周辺がきれいになる。暑いときには木陰をつくってくれる。木登りもできる。木はみんな友達」とあいさつ。一行が用意した高さ50センチほどのミズナラとコブシの苗を園庭に植えた後、参加者は手をつなぎ木の周囲へ。カウントダウンとともに飛びはねて世界平和を願う「アース・ジャンプ」をした。
中渓さんによると、これまでに植樹した木は酒田のものを含め170本という。ポールさんら一行は16日午後、寒河江市に向け出発した。
園児らとともに植樹作業を行うポールさん=16日
2009年(平成21年) 5月19日(火)付紙面より
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米アカデミー賞外国語映画賞に輝いた映画「おくりびと」の滝田洋二郎監督が18日、メーンロケ地となった酒田市に“凱旋”。同日午前は阿部寿一市長らと懇談したほか、「旧割烹小幡」「旧港座」を訪問した。
滝田監督は今回、同日夜に同市の希望ホールで開催のトークショー出演のため、渡井敏久プロデューサーとともに訪れた。滝田監督の酒田入りは昨年9月に開かれた試写会・完成記者会見以来。
ロケに全面協力した酒田観光物産協会の荒生満常務とともに市役所を表敬した滝田監督らは、阿部市長、中村護副市長らと懇談。阿部市長が「お帰りなさい。(アカデミー賞受賞は)身内の快挙のよう。いろいろな場面でメッセージを贈っていただき気配りに感謝している。酒田は今、映画に心動かされた人が大勢訪れており、ものすごいブーム」と出迎えると、滝田監督は「お世話になりました。みんながハッピーになるということは良いこと」と答えた。
「おくりびと」で酒田がにぎわっていることについて滝田監督は「かなり稀有(けう)な例だろう。死をテーマにした映画だけに奇跡といってもいいほど。それでも活性化に向け何らかの手伝いができたのならばうれしい」と話した。また、庄内地方の魅力について「厳しいけれども美しい自然が残っている。変わらない良さがある。人間が生きていく上で大事なものがそろっている。今回は死をテーマにしたが、生をテーマにした明るい映画も撮れる場所」と述べ、「また帰ってきます」と力強く語った。
この後、滝田監督らは旧割烹小幡を訪れ、NPO法人「酒田ロケーションボックス」の市村浩一事務局長の案内で建物内を見学、「よく再現したもんだね」と感心していた。
滝田監督が旧割烹小幡内を見学して回った