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2010年(平成22年) 1月5日(火)付紙面より

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奇声を発し怠け心退治 遊佐町吹浦 「アマハゲ」3集落の家々回る

 遊佐町吹浦の女鹿集落で3日夕から夜半にかけ、奇習「アマハゲ」が繰り広げられた。鬼のような面をかぶり、ケンダンと呼ばれるみのをまとったアマハゲが奇声を上げながら集落内の家々を回った。

 アマハゲは、吹浦地区のうち「浦通り」と呼ばれる秋田県境に近い滝ノ浦、女鹿、鳥崎の海岸沿い3集落に残る新年行事。冬の間、何もしないでこたつに入ってばかりいると、足にできる赤い斑点「あまげ」をはぎとる意味の「あまげはぎ」が転じたものとされ、怠け心を戒め、勤労・勤勉を促す風習とされる。

 秋田県男鹿市などに伝わる「ナマハゲ」と同系統とされているが、アマハゲは包丁を持たず、奇声のほか、言葉を発することもない。3集落ともほぼ同様の形態で受け継がれ、1984年に「遊佐の小正月行事」として国の重要無形民俗文化財に指定された。毎年、元日に滝ノ浦、3日に女鹿、6日に鳥崎の各集落で行われる。

 3日は女鹿集落の若衆9人が参加。太鼓を担当した若衆代表の池田大さん(40)を除く8人が「赤鬼」「青鬼」「赤じんじ」「黒じんじ」「がんぐつ」と呼ばれる漆塗りの面5種を交代でかぶり、アマハゲとなった。

 玄関先で「ドーン、ドーン」と勢いよく太鼓を打ち鳴らすと、「アー、アー」と奇声を発しながらアマハゲが一斉に家の中に。怖さのあまり泣き叫んだり、両親やおじいちゃん、おばあちゃんにしがみつき離れない子供たちもいた。アマハゲのケンダンから落ちたわらくず「コモジ」は掃き集められ、家内安全や無病息災を願う縁起物として床の間に一晩飾るという。

 海よりの強風で雪が舞い続ける天候の中、この日、アマハゲたちは集落内の約40戸を回った。

アマハゲに抱えられ子供たちは怖さのあまり泣き出す=3日、女鹿集落
アマハゲに抱えられ子供たちは怖さのあまり泣き出す=3日、女鹿集落


2010年(平成22年) 1月5日(火)付紙面より

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「野良大根」後世へ残そう 庄農高 生徒が研究成果を住民に発表

 庄内農業高園芸科学科の生徒たちが、鶴岡市藤島地域の添川地区に自生する在来種「野良大根(のらだいこん)」の保護と消費拡大に向けた研究活動を続けている。3年目に入った本年度は、一般的な秋播(ま)き栽培に加えて春播きにも挑戦し、地元の添川地区全世帯を対象に認知度を探るアンケート調査を行うなどして研究を深めた。こうした研究の成果を1日に開かれた同地区の新年祝賀会で生徒たちが発表した。

 野良大根はピリッとした辛味が特徴で、庄内たがわ農協が20年ほど前から「ピリカリ大根」の商標で主に首都圏のそば屋に薬味として出荷している。

 同校園芸科学科は2007年度から3年生が主体となって野良大根の栽培と普及をテーマにプロジェクト研究をスタート。本年度は無農薬による春播き栽培、添川地区でのアンケート調査、アル・ケッチァーノの奥田政行オーナーシェフの助言をもとにした新しい料理の創作、地元の東栄小学校での研究発表会、東京都内のそば屋へのピリカリ大根継続使用の依頼などの活動を展開した。

 添川地区の新年祝賀会には3年生の石川香織さん、福原瑞稀さん、加藤早紀さん、松浦瞳さんの4人と担当の釜屋隆行教諭が参加。集まった約40人の住民に、「在来種を守って食べていこう」のテーマで成果を報告した。

 端境期の夏、秋の出荷を想定した春播き栽培については「長さ、太さとも十分だったが、辛味がぼやけてしまい、秋播きには味でかなわなかった」と説明。添川地区全世帯へのアンケート調査では、野良大根に対する認知度や実際に食べたことがある人の割合は他地域に比べて極めて高いことが分かった。一方で、若い世代では認知度が低い傾向にあり、「添川地区でも今後、野良大根を知らない人が増える可能性がある」と指摘。今後は、添川地区の調査で分かった伝統料理への挑戦、小中学校での普及活動、採種作業への参加など生産者との一層の交流に取り組んでいく考えを伝えた。

 生徒たちの研究成果発表に、添川地区の石向徹自治会長は「庄農生の発表を聞き、昔からある在来種の『ピリカリ』に対する思いをあらためてよみがえらせ、感動した。生徒さんたちの今後のさらなる研究に期待している」とコメント。3年の福原さんは「放課後の寒い中や暗い中、休日に苦労して調査した結果を地域の皆さんに聞いていただきたいという気持ちもあって参加した。これでやっと正月気分に浸れます」と話していた。

添川地区の在来種・野良大根(ピリカリ大根)
添川地区の在来種・野良大根(ピリカリ大根)



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