2010年(平成22年) 12月30日(木)付紙面より
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鶴岡市長沼の「長沼温泉ぽっぽの湯」農産物直売所で28日、「つや姫」の米粉を使ったパンの販売が始まった。吟醸酒の酒かすを練り込んだ「つや姫吟醸パン」と、揚げて砂糖をまぶした「つや姫揚げパン」の2種で、ともにもちもちした独特の食感を生かした。関係者は「つや姫誕生の地・藤島のアピールになれば」と期待を寄せている。
このパンは、「つや姫」が藤島地域の県農業研究センター水田農業試験場で育種されたことを地域活性化に生かそうと、同地域住民らで今年3月に結成した「つや姫誕生のまち活性化の会」(つや姫会、田中壽一会長)が企画。同市の中心市街地に3店舗を構えるパン店「ナカムラヤ」に開発を依頼した。
10月末に市藤島体育館で開かれた「ふじしま秋まつり」で試作品を販売したところ好評だった。そのアンケートを参考に市販に向け改良を重ねていた。
2種類とも、粘りの基になるグルテンを除き、藤島地域産のつや姫を100%使用。「吟醸パン」は、吟醸酒の酒かすを吟醸酒で溶いたものを練り込み、風味豊かな食パンタイプに仕上げた。「揚げパン」は香ばしさと程よい甘さで後を引く味わいとなっている。
10年ほど前から「はえぬき」の米粉パンを製造・販売しているナカムラヤの中村勲社長(68)=同市切添町=は「米粉パンは粘りが強いが、つや姫ははえぬきよりさらに強い。つやつやで、もちもち、しっとりした食感になる」と特長を解説。原料の米粉は通常の小麦粉の4倍ほどの高値だが、売り値は企業努力で抑えたという。
ぽっぽの湯の栗本久支配人は、「『つや姫』人気で、直売所のコメの売り上げは昨年の1・7倍ほど。パンでも売り上げ増に期待」としている。
つや姫会は「つや姫」を使ったそばの開発を働き掛け、先月から地域内のそば店で販売をスタート。2例目の加工品について、事務局(鶴岡市藤島庁舎産業課)では「年末年始の帰省者を含め、いろんな人に『つや姫誕生の地』をアピールできれば」としている。
つや姫パンの価格は「吟醸パン」が150円、「揚げパン」が120円。ぽっぽの湯で来年1月5日まで(1月1、2日を除く)、その後は土・日曜日限定で販売する。問い合わせはぽっぽの湯=電話0235(64)4126=へ。