2010年(平成22年) 2月28日(日)付紙面より
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鶴岡市の湯田川温泉女将(かおみ)会(大塚せつ子会長)に加盟する旅館のうち6軒の旅館が3月1日から、共通メニュー「おかみ乃おへぎ」のひな祭り版「お雛(ひな)乃おへぎ」の提供を始める。各旅館の女将が腕を振るったおもてなし料理で、温泉街にある旧白幡邸のおひな様見物や梅林公園を訪れる客を温かく迎える。
「おへぎ」は神社や神棚などに供物をささげる際に用いられた木製のお盆で、庄内では「おへげ」「へげ」とも呼ばれ、食台としても利用されてきた。女将会は2008年7月から、地元産の旬の野菜や山菜にこだわった伝統的な料理や行事料理を中心に「おかみ乃おへぎ」と銘打ち、約30センチ四方のおへぎに小鉢3品を載せて提供。小鉢の料理は1―2カ月ごとに変えている。
ひな祭りに合わせた「おへぎ」は、おぼろコンブと薫製のサーモンを衣装に見立てて男雛と女雛をかたどった「おひな黄身すし」、ニシンとフキの小みそ煮、菜の花のからしあえの3品。これにゴマ豆腐のあんかけ、マス焼き、ちらしずし、吸い物などを加えて「お雛乃おへぎ」とした。すし飯の代わりにゆでた卵黄にすし酢を混ぜて作ったおひな黄身すしは、見た目も華やかで春にふさわしい料理に仕上がった。
数寄屋造りでヒノキ材をふんだんに使い明治末期に建てられた旧白幡邸のおひな様は3月1日―4月4日に展示(有料)され、3月下旬ごろからは梅林公園も見ごろを迎えそうという。女将会の大塚会長は「旧家に伝わる幕末から明治期に作られたおひな様と梅林公園の梅を見ながら、お雛乃おへぎと湯田川温泉のお湯を楽しんでもらえれば」と話している。お雛乃おへぎは入浴付きで基本料金が2000円。予約が必要で、希望に応じて他の料理を加えることができる。提供期間は旧白幡邸おひな様の展示期間と同じ。
問い合わせは、提供旅館のたみや旅館=電0235(35)3111、甚内旅館=同(35)2151、つかさや旅館=同(35)2301、理太夫旅館=同(35)2888、隼人旅館=同(35)3355、ますや旅館=同(35)3211=へ。
2010年(平成22年) 2月28日(日)付紙面より
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3月3日のひな祭りを前に、庄内の各菓子店で「ひな菓子」作りが盛んに行われている。
鶴岡市の老舗菓子店「木村屋」(吉野隆一社長)では今月に入って注文が増え、同市宝田一丁目の工場で従業員たちが色鮮やかなひな菓子の飾り付けに追われている。
庄内のひな祭りは3月3日、または月遅れの4月3日に祝い、ひな人形とともにタイや野菜、果物など縁起物をかたどったひな菓子を飾る風習がある。白あんに求肥などを混ぜて練った「練り切り」という生菓子が主流だ。練り切りでさまざまな形のひな菓子を作るのは全国でも珍しく、その技術は北前船などで京都から伝わり、独特の発達をしたとも言われる。
木村屋の工場内ではタイやバナナ、リンゴ、タケノコなど約20種類のひな菓子が作られている。食紅などで色を付けた後、乾きを抑え光沢をつけるための「つや出し寒天」をかけたり、揚げたパスタを短くカットしてリンゴの軸に当たる部分を作るなど、細かい部分はすべて手作業で行われている。
同社の斎藤文弥副工場長は「来月3日まで合わせて約1万個のひな菓子が工場内で作られる。その後、いったん生産量は落ち着くが、4月のひな祭りに合わせて再び稼動が増える。みやびやかなひな菓子は贈り物としても喜ばれているようだ」と話していた。