2010年(平成22年) 3月13日(土)付紙面より
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手織物やパンの製造・販売などで障害者の自立支援を行っている三川町のNPО「はんどめいど糸蔵楽(いとくら)」は、新商品として昔なつかしい米菓子「ポンせんべい」の販売を始める。通所生の仕事の創出と運営資金のねん出を目的に昨年6月から試行錯誤、ようやく商品化にこぎつけた。理事長の飯野美世枝さん(77)は「苦労していると誰か助けてくれる人が現れた。いろんな思いが詰まったせんべいを多くの人に食べてほしい」と話している。
糸蔵楽は、織物を仕事としていた飯野理事長が10年ほど前に、“お返しの人生”として自宅で始めたボランティアが前身。2003年に通所生の保護者とともに運営委員会を組織して任意の福祉作業所となり、07年にNPО法人化。現在は横山小近くの旧福祉施設跡地で通所生9人が織物やパンの製造・販売に取り組んでいる。
ポンせんべいの開発は、共同作業が苦手な通所生に何か仕事を与えられないかと考えたのが始まり。1枚1枚手焼きする昔ながらの米せんべいが飯野理事長の頭に浮かび、機械探しでは、メーカーに問い合わせるなどしたところ、「子供の時に家で食べた記憶がある」という職員の実家から、古い機械が出てきた。
ところが、使い方が分からない。飯野理事長はほかの商品を参考にしてみようと、インターネットで熊本県の物産店からポンせんべいを取り寄せた。商品の完成イメージは描けたが、思うようなせんべいは焼けない。飯野理事長は思い切って袋の後ろに書いてあった製造元に電話。農家だという夫婦が電話口で機械の扱い方を何度となく教えてくれた。
ポンせんべいは、取っ手のついた2枚の鉄のせんべい型にティースプーン1杯の米粒を入れ、ガスで200度まで温めた機械のハンドルを回して圧縮。数秒で直径10センチほどのせんべいが焼き上がる。味のバリエーションでいった大豆や桜エビ入りなどがあるが、原料は町内産のコシヒカリのみ。安全で、サクサクした食感や素朴な味わいは赤ちゃんから大人まで楽しめる。
「挑戦しない人生はつまらない」と、織物の指導からパンづくりまで活動の幅を広げてきた飯野理事長。「ようやく商品となった。食べた人から『もっとこうした方がいい』などの声でもっともっといいものにしていきたい。今はせんべいから広がった交流に感謝」と話している。
◇ ◇
ポンせんべいは13、14、15日に糸蔵楽を会場に行う「桜(はな)待ちフェア」で売り出す。6枚入り110円。問い合わせは糸蔵楽=電0235(66)3975=へ。
2010年(平成22年) 3月13日(土)付紙面より
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穏やかな日差しに恵まれた12日、酒田市浜中の赤川河口付近では、サクラマス釣りを楽しむ太公望の姿が多く見られた。
山形地方気象台によると、日本の東と南側にある高気圧の影響で、県内全域が晴れの天候となった。庄内地方は日中、穏やかな日が差し、同日正午現在の最高気温は酒田市で11・5度。平年より4・3度高く、4月上旬並みとなった。
この日午前中、赤川河口右岸には県内外からサクラマスを狙う釣り人が訪れた。大物を期待しながら、川に向かってルアーを30メートルほど投げ入れ、ゆっくりとリールを巻く動作を繰り返していた。
酒田市内の会社員の男性(55)は「昨年は30回ほど釣りにきてサクラマスを1本釣り上げることができた。今年はまだ釣れていないが、1本でも釣れればラッキーなこと」と話していた。