2010年(平成22年) 3月5日(金)付紙面より
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酒田市のNPO法人が同市の酒田北港内に設置していたハタハタの産卵床の引き揚げ作業が4日、同港内の通称・水路で行われた。産卵床には卵塊(ブリコ)が昨シーズン並みの約2000個付着。関係者は「増殖事業は着実に成果を挙げている」と話していた。
産卵床を設置しているのは海洋生物の保護活動などを行っているNPO法人・みなと研究会(守屋元志代表理事)。2005年から継続しており、5シーズン目。
ハタハタ増殖研究の一環として同市の西荒瀬小学校の5年生が昨年、ブリコを産み付けやすいよう杉や笹の葉などを取り付けた産卵床(縦約0・6メートル、横約7・0メートル)を2基製作。同12月13日に水路内に設置した。
この日は、同法人から委託を受けたダイバーが潜り産卵床を引き揚げた。産卵床にはブリコが高密度で付着。守屋代表理事は「3個しか付着していなかったシーズンもあっただけにほっとした」と話し、「水路でふ化したハタハタが回遊し戻ってきたこと、設置個所で釣りをしないなど釣り人のマナー向上が、増えている要因だろう」と話していた。
同法人では今後、今シーズンの増殖研究に関する報告会を開催する予定。
2010年(平成22年) 3月5日(金)付紙面より
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鶴岡市の山王商店街のにぎわい創出に向けた再生事業に取り組む「山王まちづくり株式会社」が設立された。山王通りで進む街路整備に合わせ、共同店舗や共同駐車場の運営などの事業を展開し、商店街に不足している業種を充実させ、空き店舗解消や回遊人口の増加を目指す。県によると、1つの商店街に限定したまちづくりを担う会社の設立は県内初で、同社は「持続可能な商店街づくりに向け、山王通り全体のまちづくりをプロデュースしていきたい」と話している。
鶴岡山王商店街振興組合(三浦新理事長)の事務所が入る山王会館で3日夜、設立総会を開き、定款や役員を決め、正式に設立した。代表取締役には設立発起人代表を務めた三浦理事長が就任。同振興組合の組合員を中心に19個人・団体が出資し、資本金は426万円とした。
山王まちづくり会社は、商店街のまちづくりに関する計画策定などに取り組んできた有限責任事業組合「アクティブ山王」を発展的に改組した形で、「共同店舗の事業実施などを控え、社会的信用度をより高めたい」(三浦理事長)と会社組織に移行した。
鶴岡市中心市街地活性化基本計画に盛り込まれている「みち広場整備」「ゾーン整備」「おもてなし空間整備」を3本柱に再生事業を展開する。ゾーン整備は、山王神社そばの約600平方メートルの敷地に共同店舗と共同駐車場を設置し、食をテーマにした物販店や飲食店のテナントを誘致する。今月中にも募集に入る計画で、すでに出店を希望する業者があり、来春のオープンを目指す。また、旧マシマ跡地を活用し、地元食材などを販売する複合施設整備を計画する。
おもてなし空間整備は、民地を活用し小路を設けて商店街の回遊性を高め、市が進める街路整備に合わせた「みち広場整備」でナイトバザールのイベント舞台づくり、植栽などに取り組む。
山王商店街近くでは、まちづくり鶴岡が進める映画館「鶴岡まちなかキネマ」が今年5月にオープン予定となっており、映画館に来場した人々が商店街を回遊するまちづくりを目指す。
山王まちづくり会社は今月にも、ハード事業の第1弾となる共同店舗、共同駐車場の整備に向け、市中心市街地活性化基本計画に基づき、国に補助事業採択を申請する。三浦理事長は「商店街が継続して成り立っていくことが地域住民のためにもなるはず。住民から『われわれの商店街』との誇りを持ってもらえるような商店街づくりを進めたい。ほかにも活用できる空き店舗があれば、商店街で不足している業種を誘導するなどし、まちづくり会社が山王商店街のにぎわい創出に向け、まちづくりを総合的にプロデュースしていきたい」と話している。