2010年(平成22年) 4月3日(土)付紙面より
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温泉のお湯を利用して種もみを発芽させる「芽出し作業」が、鶴岡市湯田川の市農協湯田川催芽場で始まった。
温泉のお湯を使った芽出しは、江戸時代後期の1848(嘉永元)年に当時の湯田川村の大井多右衛門が始めたとされ、地元の由豆佐賣神社に功績をたたえる石碑が残されている。現在は温泉街北側の催芽場のコンクリート水路にお湯が引き込まれ、地元住民たちによる臨時作業員が毎年この時期に芽出し作業を行っている。
作業は、各農家が事前に袋詰めして10日ほど水に漬けておいた種もみを、催芽場で32―33度のお湯に約12時間浸した後、水路に渡した板にコモをかけてさらに半日ほど蒸すことで発芽を促す。専用の機器を使った芽出しに比べてコストが安く、発芽が均一になり苗作りが楽になるなどのメリットがある。
今シーズンの作業は1日にスタート。連日、午前8時と午後1時、同4時の計3回に分け、種もみをお湯に浸す作業が進められている。市農協によると、今年は庄内一円と新潟県村上市などの農家約1000戸から、はえぬきを中心にひとめぼれなど計約230トンの種もみを預かる予定。県産の新品種「つや姫」も持ち込む農家もあったという。ピークを迎える7―10日は約20人が作業に当たり、一日平均25トンを取り扱う。
2日は朝から雨が降る中、午前8時に作業を開始。作業員たちがお湯が満たされた水路に種もみの袋を次々と浸していた。この日の夕方まで約4・2トンを浸すという。