2010年(平成22年) 4月4日(日)付紙面より
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日本海きらきら羽越観光圏推進協議会(会長・榎本政規鶴岡市長)は、欧米など英語圏からの誘客を促進するため、観光圏の英語版パンフレットを作製した。
庄内の5市町と戸沢村、秋田県にかほ市、新潟県村上市、関川村、粟島浦村の3県10市町村エリアで2泊3日以上の滞在型観光の確立を目指し、昨年4月から進めている観光圏整備事業の一環。まず日本語のパンフレットを作り、庄内在住の英語圏出身者などの協力で英訳した。
観光モデルコースとして掲載したのは、冬のスキー、夏のビーチを満喫する「季節限定・旬の旅コース」、羽黒山五重塔など国宝や史跡、村上市の町屋などを巡る「歴史文化堪能コース」、鳥海山や六十里越街道のトレッキングなどで自然と触れ合う「自然体験満喫コース」、日本海の飛島・粟島を巡る「島探検コース」の4コース。
さらに、鶴岡市の絵ろうそくや御殿まり、酒田市の酒田獅子など伝統工芸品、羽黒山の山伏修行体験など各種体験コース、鶴岡市のだだちゃ豆や各地の地酒、村上市の鮭料理などの郷土食、エリア内9つの温泉地や足湯スポットの紹介のほか、羽黒山の杉並木、致道博物館酒井氏庭園など「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」掲載地も盛り込まれている。
このほか、観光圏全体のマップや年間イベント案内、交通アクセス、ホテルガイドも付いている。
B2判で折り畳むとB5サイズになる。1万部作製し、首都圏や関西圏などの旅行エージェント、県の東京、大阪、名古屋各事務所、JR新潟、秋田各支社、県内の国際交流機関・団体、観光協会、観光案内所、道の駅、観光・宿泊施設、庄内空港、高速道路サービスエリアのほか、県ソウル事務所、東京にあるマレーシア、ハンガリー両大使館、米国在シアトル日本領事館などにも配布した。
同推進協議会事務局の庄内観光コンベンション協会では「パンフレットでは英語圏の外国人が好む海や山の魅力の紹介にも力を入れた。これを活用して外国人観光客の一層の誘客を図っていきたい」と話している。
2010年(平成22年) 4月4日(日)付紙面より
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オワンクラゲの緑色蛍光たんぱく質(GFP)の発見で2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩博士(81)=米国在住、ボストン大名誉教授=が2日、鶴岡市立加茂水族館(村上龍男館長)を訪問した。地元住民らの歓迎の中、一日館長を務めるとともにクラゲ展示室「クラネタリウム」などを見学、「大したものだ」と称賛した。
下村博士が受賞した08年10月、国内では加茂水族館だけがオワンクラゲを常設展示していたため入館者が急増。「クラゲの展示数、世界一」を誇る同館としては面目躍如となった。“オワンクラゲフィーバー”を受け、村上館長が受賞を祝う手紙を送り、下村博士と加茂水族館の縁ができた。その後も手紙やメールで交流が続き、下村博士の助言で繁殖個体のオワンクラゲの発光に成功、さらに来館者が増えたという。
交流開始当初から、村上館長は下村博士の来館を熱望していた。昨年9月に「来春(2010年春)には水族館を訪問したい」とファクスが届き、今年1月に訪問日程が正式に決まった。
この日、下村博士が妻の明美さん(74)とともに訪れると、待ち構えた一般市民や地元加茂地区の住民、加茂小学校児童ら300人余りが出迎え、館内は大混雑した。歓迎セレモニーでは、加茂小6年の佐藤美々さんが「私たち加茂小の児童が大好きな水族館に下村博士が来てくれてとてもうれしいです」とあいさつ。下村博士に「一日館長」、明美さんに「一日副館長」のたすきが掛けられた。
続いて村上館長の案内でクラネタリウムを見学。下村博士はオワンクラゲの水槽の前で奥泉和也副館長と「米国では春から秋まで見られるが、庄内ではどうですか」「庄内は3―6月に見られ、夏になると見られなくなります」と会話。また、ウリクラゲについて「暗い場所に20―30分ほど置いておくと青く光るようになると思う」と展示方法をアドバイスした。
繁殖と学習室を兼ねたクラゲ研究室では、同館が改築に向けて大量繁殖に取り組んでいる実証実験を見学。「村上館長の情熱がすごい。難しいクラゲの繁殖に頑張っており、本当に大したものだと思う」と称賛した。
村上館長は「一時は閉館も覚悟した水族館に来ていただき、下村博士から温かい言葉をもらって思わず涙が出そうになった」と感慨深げに話していた。
下村博士夫妻は湯野浜温泉の旅館に一泊し、3日は慶應義塾大学先端生命科学研究所・鶴岡メタボロームキャンパス(同市覚岸寺)で中高生や同研究所の学生、研究者合わせて100人余りの前で講話。戦時中は満足に勉強できなかったことや、米国・プリンストン大学でオワンクラゲを研究しGFPの発見につながった経験などを語り、「どんな難しいことでも努力すれば何とかなる。あきらめずに頑張ることが大事」と呼び掛けた。