文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2010年(平成22年) 6月11日(金)付紙面より

ツイート

森の時間29 ―山形大学農学部からみなさんへ―

フォンテーヌブローの森にたたずむ 平  智

 フォンテーヌブローの森。誰もが一度は耳にしたことがあるフランスの有名な森です。パリから南東へ約60キロのところに位置しています。

 フォンテーヌブローの街から森をはさんで西北西へ約10キロのところに、これまた名の知れた小さな村があります。バルビゾン村です。

 そうです。かの有名なミレーやテオドル・ルソーなどのバルビゾン派の画家たちが暮らした村です。ミレーの「落ち穂ひろい」や「晩鐘」などの名作は、この村で描かれたといわれます。

 もう10年以上前の話になりますが、10人ほどのグループでフォンテーヌブローの森やバルビゾン村を訪れたことがあります。

 これといった目的があったわけではありません。ただ、フランスの森が、フォンテーヌブローの森が、見たかったのです。

 フランス人の知人に案内されてたまたま通りかかったのがバルビゾン村。なぜか気になる、こじんまりと落ち着いたたたずまいの村でした。

 どうしてももう一度訪ねてみたくなって、さっそく翌日の自由時間を利用して数人で再訪しました。

 フォンテーヌブローの駅からのバスの便はあまりよくなくて、結局タクシーでバルビゾン村にたどりついたのはもうお昼すぎのことでした。村の中の小さなレストランで昼食をとったあと、食後の散策に…。

 すがすがしい木々の新緑に誘われるようにして、村に接するようにたたずむフォンテーヌブローの森の中に、誰もが吸い込まれるように入っていきました…。

 ある人は、大樹の陰にゆったりと腰をおろして、バッグからお気に入りのスケッチブックとペンを取り出してスケッチを始めました。

 ある人は、自慢のカメラでフォンテーヌブローの森の心に迫る写真の撮影にいそしみました。

 また、ある人は、とても魅惑的なバルビゾン村の街なみに呼び戻されて、散策やショッピングを楽しみました。

 そして、僕ともう一人の人は、森の入り口近くにごろごろっと横たわっている大きな石(というよりは岩)に腰をおろして、森の声に耳を傾けました。

 暑くもなく寒くもない、すこぶる快適な気候。そよ吹く風、やさしいシャワーのような木もれび…。

 ほどなく僕とその人はそれぞれの石の上に静かに身を横たえ、眠るともなく起きるともない穏やかな時間を過ごしたのでした。

 どこからか、そんなに遠くないところから聞こえてくる子供たちの声。近くの小学校の児童たちが写生にでも来たのでしょうか。

 鳥の声もします。日本で聞く声とはちょっと違うような…。…そうか、フランス語か…? 何時間もの間、そうしていたような記憶が、今も心の奥に残っています。

 「石の上にも三時間」(笑)…本当に至福の、最高にすばらしい、「森の時間」でした。

(山形大学農学部教授、専門は園芸学および人間・植物関係学)

フランス/フォンテーヌブロー バルビゾン村にて=自然写真家・斎藤政広(1999年6月23日撮影)
フランス/フォンテーヌブロー バルビゾン村にて=自然写真家・斎藤政広(1999年6月23日撮影)


2010年(平成22年) 6月11日(金)付紙面より

ツイート

「サマーティアラ」産地形成へ

 県が育成した四季成りイチゴの新品種「サマーティアラ」の生産拡大を図り、高品質で安定した供給が可能な産地形成を目指す「酒田いちご塾」の開講式が9日、酒田市坂野辺新田のJAそでうら総合会館で行われた。酒田市袖浦、庄内みどり両農協管内の農家16人が受講。来年3月まで実施する座学や畑での巡回研修、先進地視察などを通し、栽培技術や流通・経営の基本知識を習得する。

 サマーティアラは、1年を通して収穫できる性質を持ち、国産イチゴが品薄になる夏から秋にかけて供給できる。その上に▽食味や香りが良い▽柔らかくなりにくいため輸送に耐える▽断面が赤く切り口が美しい―ことなどから、特にケーキなどの業務用として需要拡大が期待されている。

 いちご塾は、同市の農業振興を目的に両農協と酒田市の三者が昨年4月に締結した「酒田農業元気協定」を推進する事業の一環。同協定では2011年度までの予定で、「水田農業システム構築」「飼料用米・米粉拡大」などの事業に、連携して取り組む。

 「イチゴのブランド産地確立」も協定の大きな目標の一つ。砂丘地の園芸農業を中心にした袖浦農協の持つノウハウを、サマーティアラの栽培拡大をきっかけに水田農業が主の庄内みどり農協の組合員にも学んでもらうことで、庄内をイチゴの一大産地にする狙い。

 開講式には関係者約50人が参加。事業主体になる市種苗供給推進協議会長の星川功・市袖浦農協組合長が「業務用イチゴの市場は約200億円もあるが、夏季は国産の端境期で輸入に頼っている。食の安全・安心のため国産品を求める動きが広まっており、今が千載一遇のチャンス。この塾を起点に『オール庄内』で戦国時代に打ち勝つよう頑張ろう」とあいさつした。

 塾長の安藤明子県庄内総合支庁酒田農業改良普及課長は、昨年の四季成りイチゴは北海道を中心に全国で約85ヘクタール栽培され、この5年間で1・7倍に増えたことや、本県の作付面積は全国5位だったことなどを説明。その上で「ほかでも新品種を開発し、シェア拡大にしのぎを削っている。サマーティアラは実需者の評価が高い。これから学ぶ皆さんの手でさらに大きく育て、全国に誇れる産地に成長させてほしい」と激励した。

 休憩時間にはサマーティアラを使ったショートケーキが振る舞われ、参加者が味見。続いて、イチゴの産地形成にアドバイスするなど活躍している高橋宗紀トーワ物産取締役営業部長が「四季成り苺(いちご)サマーティアラの産地化に向けて」と題し講演した。

 その後、第1回座学講座が開かれ、受講生がサマーティアラの特徴や病害虫の予防対策を学んだ。

特に業務用イチゴとして需要拡大が期待されているサマーティアラ
特に業務用イチゴとして需要拡大が期待されているサマーティアラ


2010年(平成22年) 6月11日(金)付紙面より

ツイート

内川下り城下町学ぶ 鶴岡で歴史散歩

 鶴岡商工会議所観光部会(本間満部会長)主催の「鶴岡歴史散歩」が10日、鶴岡市街地で行われ、市民たちが内川の舟下りなどを体験しながら、城下町の歴史を学んだ。

 歴史散歩は、市民から「自分のまち」の良さを知ってもらい、鶴岡を訪れる観光客に“おもてなし”の心で声を掛け、観光案内をしてもらおうと2001年から毎年1、2回のペースで開かれている。これまで鶴岡市出身の作家・藤沢周平ゆかりの地や、藤沢作品の映画ロケ地などを回っている。

 今回は、40―80代の男女16人が参加。「街角に見る江戸時代」をテーマに、内川の舟下りのほか正覚寺(鳥居町)や常源寺(同)、日枝神社(山王町)などを散策し、城下町の歴史や寺社のいわれなどを学んだ。

 このうち舟下りは、鶴園橋から昭和橋付近までの約400メートルを昔ながらの和舟でゆったりと下った。舟を運航管理する「鶴岡舟番所」の船頭から三雪橋や千歳橋の歴史を聞きながら、参加者たちは「川風がとても気持ち良い」「最高の気分」と話しながら舟下りを楽しんでいた。

川風を受けながら内川の舟下りを楽しんだ
川風を受けながら内川の舟下りを楽しんだ



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field