2011年(平成23年) 1月1日(土)付紙面より
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つや姫 全国トップの高品質
売れ行き好調、飛躍の年に
昨年秋に本格デビューした県産米のオリジナル新品種「つや姫」。昨夏の猛暑にも暑さに強い特性を発揮し、農水省の2010年産新米検査(11月末現在)で本県産「つや姫」の1等米比率は98・0%と全国トップとなった。高品質に呼応し売れ行きも好調となっている。県新農業推進課ブランド戦略室は「上々のデビュー」としている。
デビュー“2年目”となる「つや姫」の取り組みは県内での作付面積の拡大だ。県は「つや姫」の作付面積についてブランド力を高めるため、高品質の維持や市場で過剰感を出さないなどの戦略の下、11年産も10年産と同程度の2500ヘクタールとしていた。
一方、本格デビュー後の売れ行きは順調に推移。販売・流通業者による「取扱協力店」は昨年11月末の段階で県内がスーパーや生協、米穀店など150店、県外は24都道府県の計900店に広がった。また、つや姫を使った料理を提供する宿泊施設など「提供店」の数は県内67店、県外14店となっている。
さらに海外については東方水上シルクロード貿易促進協議会と中国・黒竜江省ハルビン市の現地企業、JA鶴岡の3者で中国への輸出協定を締結。5トンが輸出され、中国の富裕層向けに売り込む土台が整った。
こうした中、流通関係者からの供給量の拡大、県内の水稲農家からは栽培要望が強まっている。ニーズに応えるため、県は2011年産「つや姫」の作付面積を、10年産の2500ヘクタールから700ヘクタール拡大して3200ヘクタールとした。出荷量は本年産より約3500トン増の約1万6000トンと見通されている。
昨年12月に公表された11年産を栽培する生産者の認定数は、庄内地域では昨年より25人増の1250人となり、作付面積は同108ヘクタール拡大し1320ヘクタールとなった。5市町別の内訳は、鶴岡市が生産者565人の600ヘクタール、酒田市が272人の306ヘクタール、三川町が88人の131ヘクタール、庄内町の294人の259ヘクタール、遊佐町が31人の24ヘクタールとなっている。このほか、県全体で489ヘクタールの作付面積増加分について栽培希望者を追加募集している。
一方、他県でも1等米比率の高さなどで注目を集め、「つや姫」の栽培が広がっている。10年産「つや姫」の県外栽培は、宮城県が奨励品種に認定して約62ヘクタールを作付けしたほか、26府県で試験栽培が行われた。11年産は宮城県に次いで大分県が2例目となる一般作付けをスタートする予定で、同県では10年度内に奨励品種として指定する見通しとなっている。県内外での生産拡大は「つや姫」の知名度アップに追い風となりそうだ。
10年の歳月をかけて開発したオリジナル新品種は高評価を獲得した。県産米ブランド推進室は2年目を「定着」の年と位置付ける。同推進室は「戦略として次のステップはブランドをいかに定着させていくかが鍵」とする。
取り組みとしてはイベントやPR、協力店や提供店の拡大など10年度からの継続となるが、一般消費者へのアピールを強化し、「消費者の間で知名度を上げることで店頭購入者を増やし、安定したリピーターを確保したい」と話し、県外での認知度を上げて「山形の米=つや姫」を目指していく。