2011年(平成23年) 6月3日(金)付紙面より
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赤川水系に生息する魚を展示したミニ水族館「ざっこの館」が1日、三川町猪子にオープンした。地元の農業、成澤清太郎さん(64)が3年前から個人で開設しているもので、町内などで捕まえたドジョウやナマズ、メダカなど15種ほどを展示。成澤さんは「『ざっこしめ』をする子供がいなくなり、魚の名前も知らない。身近にこんな魚がいることを知ってもらえたら」と話している。
成澤さんは農業の傍ら、赤川漁協東郷支部総代、県漁業監視員を務める。子供のころからざっこしめが大好きで、「季節によって捕れる魚が違うことなどを自然に学んだ」と話す。大人になってからも趣味で自宅の水槽で魚を飼うなどしていたところ、ある日、子供に「このメダカはどこにいる?」と尋ねると、「ホームセンターにいる」という答えが返ってきた。「情けないと思って。ざっこしめができなくても、せめて身近な魚の名前だけでも知ってほしい」と、農閑期に農業用ハウスを活用して小さな水族館を開いていた。
4年目となる今年は、三川町が本年度の新規事業として、赤川漁協と協働でソフト事業「赤川・川の恵みプロジェクト」を展開していたことから、その一環として協力。これまで宣伝などは全くしてこなかったが、広く町内外にアピールすることにした。
先月まで育苗ハウスだったという館内には、11個の水槽や1・5メートル四方の囲いが用意され、今ではめったに見られなくなったという自然のメダカや、きれいな川にすむというイバラトミヨ、アブラハヤ、ヤリタナゴ、タモロコ、体長40センチほどの大ナマズなどがずらり。魚はすべて町内を中心に赤川水系で捕まえた。
初日のこの日は、館内で簡単なセレモニーが行われ、赤川漁協の黒井晃組合長は「個人宅でこれほどの規模にびっくりした。町とともに漁協おこしにもつなげたい」、阿部誠町長は「昔のように生活とともにあった川への認識をあらためるきっかけとなれば」とそれぞれあいさつ。早速、近くの老人福祉施設の利用者が訪れ、元気に泳ぎ回る魚の姿を見て楽しんでいた。
場所は猪子地区の大型商業施設東側。いつでも自由に見学できる。団体などが解説付きで見学したい場合は赤川漁協の担当・稲田さん=電0235(22)2077=へ。開設は来年1月ごろまで。