荘内日報ニュース

2011年（平成23年） 6月15日（水）付紙面より

大きく育てよう　絹産業復興へ蚕飼育法学ぶ

　鶴岡市が進める「鶴岡シルクタウン・プロジェクト」で、蚕の飼育に挑戦する市内の小中学校などへ飼育のポイントを伝える説明会が14日から始まった。本年度初めて蚕の飼育をする市立羽黒第三小学校（後藤誠校長、児童198人）には養蚕の指導員が訪問し、飼育を担当する3年生に蚕の生態や注意点などを説明した。

　同プロジェクトは、かつて松ケ岡開墾場（鶴岡市羽黒町松ケ岡）を中心に栄えた絹産業の復興に向け、鶴岡市が昨年から展開している。蚕の飼育は県蚕糸業会（今田正夫会長）の協力を得て、市内の小中学校や幼・保育園などに参加を呼び掛けており、昨年度は計39施設で2900匹余りが飼育された。本年度は一般21人と47施設が飼育を希望し、今月10日に各施設、家庭へ飼育キットが配布された。計4000匹余りが市民の間で飼育されるという。

　各施設や家庭への飼育指導は、市の依頼を受けた養蚕業経験者など5人の指導員が巡回して行う。この日、羽黒三小には地元の松ケ岡地区で蚕の生産指導をしていた菅原健夫さん（66）が訪問し、総合学習の時間を利用して3年生37人に飼育のポイントを伝えた。

　菅原さんは「蚕は桑の葉を食べ、脱皮して成長すると10センチほどの大きさになる。卵から生まれた直後に比べ、大きさは1万倍」と説明すると児童から「エーッ」と大きな声が上がった。また、菅原さんは「桑の葉しか食べないが、桑なら何でも良いわけではない。少しでも農薬が付着していると蚕は簡単に死ぬ。その辺りに生えている桑は与えないように」と解説した。

　このほか、菅原さんは蚕の繭からとれる糸で織った絹製品を紹介。その後、児童たちは実際に蚕を触ったり、顔を近づけたりし蚕と触れ合った。佐藤穂乃さん（8）は「触るとプニョプニョしていた。大事に飼ってあげたい」と話していた。