2011年(平成23年) 6月24日(金)付紙面より
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酒田市と庄内町の建設業者など5社で設立した「酒田FRC有限責任事業組合」は23日、同市役所で会見し、酒田共同火力発電(同市宮海、鈴木信次社長)から出る石炭灰にセメントと水を混ぜて再生砕石「FRC(フライアッシュ・リサイクル・コンクリート)」を製造し、土木工事用の骨材として来年1月をめどに販売開始すると発表した。酒田共火そばの旧住軽アルミ跡地に来月、製造プラントを着工。当面は年間3万7000立方メートルのFRC生産を目指す。
同組合によると、庄内地区では主に道路下層の路盤材として年間約16万立方メートルの再生砕石需要がある。しかし供給は約9万立方メートルにとどまっており、不足分を天然砕石などで補っている。
そのため、酒田共火から出る年間15万トンの石炭灰を再利用し、灰の9割を占める細かい粉状のフライアッシュを主原料に、セメントと水を特殊機械で混合、練った後、超振動型の成型機に入れてブロック製品化。養生後、それを破砕し骨材として使用することで、▽石炭灰のリサイクル▽天然砕石の使用減による自然環境保全▽事業化による新たな雇用創出―を図ろうと今年4月、同組合を設立した。
酒田共火によると、ほかに砂利などを用いずに石炭灰とセメントだけを原料にした再生砕石の製造事業化は東北で初。
この日は、同組合の職務執行者に就いた酒井鈴木工業(同市大浜一丁目)の齋藤茂社長らが会見。事業化の目的や経緯などを説明した。
それによると、住友金属から借りる約7900平方メートルの敷地に、5億5000万円を投下して製造プラント、製品のストックヤードなどを整備。年間約4万トンの石炭灰を使い約3万700立方メートルのFRCを製造して同組合員以外にも販売する。価格は標準的な再生砕石と同じ1立方メートル当たり1900円(配達料込み)を見込む。このプラントでは年間5万5000立方メートルまでの生産が可能。
製品は軽量で品質的にばらつきが少なく、国土交通省の再生砕石活用基準はもとより、環境影響面でも環境省の基準をクリア。安心して利用できるという。会見で齋藤社長は「石炭灰を再生利用することで、社会や地域に貢献することを主眼に事業を進める」と話した。
ほかの組合員は安藤組(庄内町提興屋、安藤政則社長)、酒田カイハツ生コンクリート(酒田市松美町、鈴木東治社長)、大場建設(同市穂積、大場弥市社長)、エルデック(同市松美町、富樫邦男社長)。2008年4月から勉強会を発足させ、原料を最適な状態で混ぜ合わせるミキシング機械の開発など、事業化に向けて研究を重ねていた。