2011年(平成23年) 6月26日(日)付紙面より
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県は24日、酒田港と韓国・釜山港を結ぶ国際定期コンテナ航路で、週2便のうち1便が7月から中国・大連港、天津新港に延伸されると発表した。酒田港からの積み荷を釜山で積み替えることなく中国に直接運ばれる“直行便”の運航は2008年1月以来3年6カ月ぶりの復活。同定期航路の貨物の5割以上が中国との輸出入で、延伸によって所要日数の短縮など定期航路の利便性が向上し、酒田港の利用拡大が期待される。
中国延伸の航路は、水曜日に酒田港を出港し伏木富山―金沢―境港を経て、釜山―蔚山―光陽に寄港して天津新港、大連と結ぶ。大連からは釜山を経由して酒田へと入る。往復で2週間のローテーションとなり、同便は2船体制となる。延伸で酒田―大連の所要日数は釜山での積み替えがなくなるため、輸出は2日短縮の5日となるとともに、貨物が受けるダメージを回避できるという。
また、釜山直行の定期便は毎週木曜日に酒田港を出港。釜山へ向けて酒田港がラストポートとなるため翌日に到着し、所要日数はこれまでの3日から2日に短縮され、より輸出の利便性が向上するとしている。
2010年の酒田港利用コンテナ貨物のうち中国との輸出入は全体の56・8%に上る。主な貨物は、輸出は再生利用品の古紙や廃プラスチックなど、輸入は加工原料の果物類の缶詰や豆類、住宅建材などとなっている。県経済交流課は「大連は(中国の)東北3省の玄関口、天津は農業系の原料供給基地であり、中国直行で所要日数が短くなることで輸出入で速さやコスト減につながる」と期待した。
吉村美栄子知事は24日、記者会見し「県内企業から『中国へのダイレクト航路があればいい』という声が多かったので喜ばしい。中国をはじめとするアジア諸国への貿易拡大の推進に、酒田港の利便性が大きく向上したことを広くPRし、官民一体となってポートセールスを積極的に展開したい」と述べた。
中国・韓国航路は、08年1月以前にも高麗海運(韓国)により、01年8月―02年4月、同年9月―03年9月の期間など断続的に運航された。
最近約3年間は運航がなかったことから、県は輸出貨物増加に向けて県内企業への利用促進の働き掛けを強めるとともに、昨年4月には吉村知事が直接、高麗海運に出向いて中国への直行便を要望していた。今回の航路変更は21日に高麗海運から日本の代理店に連絡があったという。
県経済交流課は「太平洋側の港湾が震災で使えない状態で、日本海側各港の貨物量増大を見込んでいることも背景にあるのでは」としている。
酒田―釜山港定期コンテナ航路の中国延伸が復活することについて、対岸との交易で酒田港の振興に取り組む東方水上シルクロード貿易促進協議会長の新田嘉一平田牧場会長は「このところ『順風』が吹く酒田港の利便性がさらに増し、大きな『追い風』になる。とても良いことで、喜ばしい」と話した。