2011年(平成23年) 9月7日(水)付紙面より
ツイート
慶應義塾大と鶴岡中央高の学生、生徒が庄内地方の特産品素材を使って新たなお菓子を開発する「地域資源ブランド化事業in鶴岡」の成果発表会が5日、同市覚岸寺の鶴岡メタボロームキャンパスで開かれ、庄内柿やラ・フランスのパウダーを使ったケーキ、クッキーなどの試作品を発表、ブランド化やまちの活性化につなげるアイデアを提案した。
この事業は、庄内地域産業振興センター(佐藤智志理事長)が文部科学省の事業採択を受けて2009年度から3カ年、地元の産学官と連携して取り組んでいる「地域イノベーション戦略支援プログラム」(都市エリア型)の一環。同プログラムでは地元農産物の機能性成分や加工品開発の研究に取り組んでおり、その成果品である中間素材(庄内柿やラ・フランス、庄内砂丘メロンのパウダー、ジュースなど)を使い、若い感性で提案してもらう狙い。
慶應大湘南藤沢キャンパス総合政策学部の飯盛義徳准教授のゼミ合宿を兼ね、学生26人が3―5日の2泊3日の日程で来鶴。羽黒山や致道博物館などを訪ね地域資源を学ぶとともに、鶴岡中央高総合学科の家政科学系列食物系の生徒33人と5―7人の9班をつくり、新たなお菓子の開発、ブランド化、マーケティング戦略を検討した。
この日は学生と生徒のほか、プログラムにかかわる産学官の関係者ら計約100人が参加。各班がスライドを使い、メロンのレアチーズケーキやマフィン、庄内柿のゼリー、クッキー、ラ・フランスのエクレア、大福など、それぞれ開発したお菓子を紹介した。商品だけでなく、ユニークなロゴマークを街灯のデザインに取り入れまちを明るくしたり、空き店舗を活用したカフェでの販売、機能性を前面に出して高齢者の健康増進、地元の人と一緒にお菓子を売る体験を楽しむツアーなど、まちの活性化につなげるアイデアも提案。休憩時間には、鶴岡中央高の生徒たちが作った試作品も振る舞われた。
飯盛准教授は総評で、地域から若者が流出する原因として、働く場、地域への関心、起業家精神の3つの欠如を挙げ、「後の二つは学校で何とかできる」と、地域活性化で教育が果たす役割の重要性を指摘した。
今回の事業については今後、ゼミから正式な報告を受け、実際の特産品開発に生かすという。