2011年(平成23年) 9月10日(土)付紙面より
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特別支援学校や学級への支援体制、発達障害を抱える子供の支援と理解などについて考える「県特別支援教育フォーラム」が8日、三川町の県庄内総合支庁で開かれた。保育士や小中高校の教員、保護者などが参加し、講演などを通して子供たちへのかかわり方を学んだ。
文部科学省が2008年度から取り組みを開始した特別支援教育総合推進事業に合わせ、同年度から県教委の主催でフォーラムがスタート。県内4地区のうち2地区ずつ隔年で開催している。本年度は庄内と村山地区の2会場。
この日は約60人が出席。県教育庁が本県の特別支援教育の取り組みについて説明した後、東北大学大学院教育学研究科の本郷一夫教授が「『気になる』子どもの理解と発達支援―『タテ』と『ヨコ』の連携を通して―」の演題で講演した。
本郷教授は「日本の特別支援教育は、障害のある子供たちの自立や社会参加への指導と支援を目的にしている。私たちは『障害』というものをどの範囲までとらえるべきだろうか」と前置きした上で、医学的に障害の診断は確定していないが言動が“気になる”子供について「知的には顕著な遅れがないものの、感情や行動のコントロールがしにくく、子供同士のトラブルが多いなど特徴が見られる」と指摘した。
さらに「気になる子供だけでなく、クラス集団への支援、物的環境や保育体制の整備、保護者への支援が必要になる」と語り、「個人を集団から抜き出すことを考えず、集団の中で子供の適応と発達を促進する計画を立てるべき。保育全体を見直すことで、クラス集団全体が成長することが重要」と話した。