2011年(平成23年) 12月6日(火)付紙面より
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全国各地の伝統食を訪ね、食や農業、暮らしの在り方を考えるツアー「伝統食列車」が2―4日の2泊3日にわたり、庄内町を中心に庄内地方で行われ、全国から参加した約50人が、同町の女性たちが手作りした庄内の郷土料理を味わうとともに、農産物の生産現場などを視察した。
関西を拠点に安全な食生活の重要性を訴えている「日本の伝統食を考える会」(大江卓司代表)が1992年から実施している。県内には第2号(93年2月)、第17号(2008年11月)の過去2回、ともに鶴岡市藤島地域に訪れており、今回の第20号で3回目。庄内町の余目町農業協同組合(森屋要二組合長)が中心となって受け入れ、北は本県から南は福岡県まで関西圏の女性を中心とする“乗客”が訪れた。
2日目の3日夕、同農協生活センターで開かれた郷土食交流会には、地元の生産者らを含め約70人が参加。同農協女性部や庄内町食生活改善推進協議会の女性たちが作った雑煮やサケとそうめんのあんかけ、タラのこづけ、ハタハタの湯上げ、ニンジンの白あえ、イチジクの甘露煮など約20品が提供された。参加者たちは「きれい」などと写真を撮ってから、地酒と共においしそうに味わい懇談した。
NHKの「きょうの料理」などに出演している料理研究家の清水信子さん(東京都杉並区)は「取れたての素材を、心を込めて作っていることが伝わってきて、とてもうれしい。しっかりかんで食べ、少しも無駄にしたくないという思いが募る」、ツアー事務局で会報「伝統食だより」編集長の中筋恵子さん(奈良県生駒市)は「初日を含めこんなにたくさんの料理を作ってもらい、地域の底力を感じる。手作りのものが心の交流を育むことを再認識した」とそれぞれ話した。
一行は前日の2日夕にも同会場で、納豆汁や弁慶飯、赤カブ漬け、笹(ささ)巻きなどの郷土食約20品を食べた。その他、2日は酒田市の平田赤ネギのほ場、3日は庄内町の発電型風車や「亀ノ尾の里資料館」の見学、「放射能汚染の下での食と農、エネルギー問題」をテーマにした討論会、4日は北月山荘での郷土食の昼食、環境やグリーンツーリズムに関する地元関係者の講話を聞き、帰途に就いた。