2011年(平成23年) 7月13日(水)付紙面より
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酒田地区広域行政組合消防本部(高橋清貴消防長)と県消防防災航空隊との連携合同訓練が12日、酒田市の酒田北港緑地多目的広場で開かれた。航空隊員の指導で、酒田消防職員が県消防防災ヘリ「もがみ」に理解を深めたほか、有事の際の連携を確認し合った。
「もがみ」の安全運行支援・迅速な活動に向け、消防職員からヘリの特性を学んでもらおうと毎年行っている。今回は消防職員と航空隊員計39人とともに、同市の日本海総合病院救急科の緑川新一科長が参加。▽着陸・離陸時の手信号誘導▽隊員投入・つり上げ▽消火・消防隊給水―の3つの訓練を繰り広げた。
開始を前に、高橋消防長が「管内には多くの山林があり毎シーズン、遭難・滑落事故が発生している。地上隊だけでは限界があり、航空隊の活動は頼もしい。連携を確認するため基本に忠実に訓練を行ってほしい」と訓示。訓練では、航空隊員が「エンジン音で指示が聞こえにくいため、体をたたくことがある。驚かないで」「ヘリの後部は危険なので近づかないように」「投入・つり上げの際は、航空隊員に体を預けてほしい」などと説明した。
また、山林火災などに備え、航空隊員と消防職員が連携し酒田消防の大型水槽車からヘリの消火用バケットに給水する一連の流れを訓練、参加者は真剣な表情で対応に当たっていた。
2011年(平成23年) 7月13日(水)付紙面より
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子供たちから川に親しんでもらおうという「わくわく川あそび」が12日、鶴岡市羽黒町荒川の藤島川で行われ、近くの泉幼稚園(木村稔園長、園児23人)の園児たちがペットボトルで作ったいかだ渡りや、ボートに乗っての水遊びなどを存分に楽しんだ。
わくわく水あそびは、同市藤浪二丁目の水土里ネット笹川(笹川土地改良区、村上誠理事長)の主催で毎年この時期、藤島川と今野川が交わる付近に設置した笹川第2揚水機場で実施している。
揚水機場周辺は、川水をポンプでくみ上げ農業用水に利用するため堰を設けており、川の流れが弱くなっている。水深は子供のひざほどまでだが、水遊びの場所に安全ロープを張り、同ネット職員と県や市職員、地元住民によるスタッフ約30人を動員するなど、安全に配慮している。
この日は園児全員と引率の先生4人が揚水機場を訪れた。水着姿の園児たちは早速川に入り、用意された水風船釣りや金魚すくい、水鉄砲での的当てなどに挑戦した。午前中はすっきりと晴れ渡り、気温は30度近くまで上昇。川の水は気持ち良い冷たさで、園児たちは流れるビニールボールを追いかけたり、ワニやイルカの形をしたボートにまたがったりと大はしゃぎ。同ネットの職員手作りのペットボトル製いかだに何度も乗り込む子供もおり、川面に歓声を響かせていた。
佐藤文昭君は「ボート2回乗ったよ。涼しくて楽しかった」、岡部樹凪ちゃんは「金魚すくいが面白かった」と話していた。
2011年(平成23年) 7月13日(水)付紙面より
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「森の時間」と「森の旅」 ―多様な森に流れるそれぞれの時間― 平 智
「つるおか森の時間」は市町村合併(平成17年10月1日)の1周年記念事業として始まりましたが、今年で6年目を迎えています。初年度(平成18年)は晩秋に1回だけ、2コースに分かれて森歩きをしましたが、2年目からは新緑の季節と夏、さらに秋の合計3回にわたって、コース別の森歩きを楽しんだり、山形大学農学部の演習林で森の芋煮会を楽しんだりしました。
「森の時間」の目的はいたってシンプル。市の面積の7割を超える広大な森林を私たち市民のかけがえのない貴重な資源としてとらえなおし、森とのふれあいの時間を日常生活の中に取り戻しましょう、ということです。
昨年度は、今までに歩いてきたおよそ20のコースも候補に含めて、広く市民のみなさんから「つるおか森の散歩道20選」の募集を開始し、平成22年度分としてひとまず10コースを選定しました。
大山の下池周遊コース、熊野長峰湿原コース、大鳥自然の家トレッキングコース、六十里越街道、温海嶽ぶなの森遊歩道など、みなさんもよくご存じのコースが入っているのではないかと思います。
今年度あともう10コースを選定すれば、鶴岡の「森の時間」を楽しむためのおすすめ20コースが出そろうことになります。ブナの天然林や杉の人工林、里山の雑木林や日本海が眺望できる展望スポットがある道など、鶴岡市内にある多様な森の姿を身近に楽しむためのモデルコースになってくれればと期待しています。
話は変わりますが、一昨年(平成21年7月29日)鶴岡市はドイツの南シュヴァルツヴァルト自然公園と正式に友好協定を締結しました。同自然公園は、地域の資源を上手に生かしながら自然に親しむより多くの機会を創出するさまざまなプロジェクトを企画・実施しています。鶴岡市森林文化都市研究会では、新しい総合計画にのっとって森林文化都市構想を推進するために、数年来の交流を今後さらに強化していきたいと考えています。
そのためにはできるだけたくさんの市民のみなさんにシュヴァルツヴァルト(黒い森)の空気を実際に感じながらドイツの森歩きを楽しんでもらいたいと、数年前から「森の旅」と名づけた1週間ほどのオリジナルツアーを実施してきました。
毎年、南シュヴァルツヴァルト自然公園のシェットレ事務局長をはじめとするスタッフや元フライブルク大学教授のブランドル博士、元高級森林官のパプスト博士の案内で、森歩きを楽しんだり、森林資源の有効活用法について学んだりしています。
昨年はシュヴァルツヴァルトを訪問したあとフィンランドに足を伸ばし、違う国の異なる環境にある森を歩きました。森は、その地域の気候や環境条件の影響を受けるばかりでなく、そのたたずまいにはそこに暮らす人々の生活文化のありようが投影されています。
今年も10月の後半にドイツを訪れ、晩秋のシュヴァルツヴァルトで森の時間を楽しむツアーを計画しています。ついでにオーストリアのウィーンの森にも足を伸ばし、森の歩き比べもする予定です。
今年は国連が定めた国際森林年です。「森から考えるまちづくり」を志向する森林文化都市・鶴岡にとって、豊かな森の恵みにあらためて感謝しながら、これからの時代にあったまちづくりや地域づくりについてじっくり考えてみる絶好の機会だと思います。
皆さんもご一緒に「森の時間」や「森の旅」を楽しんでみませんか。
(山形大学農学部教授、専門は園芸学および人間・植物関係学)