2012年(平成24年) 2月2日(木)付紙面より
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出羽三山神社(緒方久信宮司)が参拝客らに御神酒として振る舞う日本酒「社醸(しゃじょう)酒」を仕込む完醸祈願祭が31日、鶴岡市羽黒町猪俣新田の酒造会社「竹の露」(相沢政男代表)で執り行われた。
社醸酒はもともと神社で独自に醸造した日本酒を指し、春日大社(奈良県)などでは例大祭などで神前にささげられ、その後「おさがり」をお神酒としていただく。出羽三山神社は醸造設備や免許などがないため2002年から毎年、地元鶴岡市羽黒地域にある2つの蔵元に隔年で社醸酒の醸造を委託している。
祈願祭は祭壇を設けた同社の酒造場で行われ、蔵人と出羽三山神社の緒方宮司や神職など10人が参列した。祝詞や玉串がささげられた後、出羽三山の深層水を使った仕込み水、地元産の酒米・美山錦などでもろみを作るタンクに蔵人たちが麹などを入れ、酒棒でかき回した。
神事の後、緒方宮司が「蔵人たちが心を一つにして酒造りに励むため、こうした神事は欠かせない。きっと素晴らしいお酒ができる」、相沢代表が「日本人本来の生活、家族の大切さ、晩酌の楽しさを伝えるため、心を込めてお酒を造らせていただく」とあいさつした。
この日仕込みを開始した社醸酒は、約1カ月後には搾り作業が行われる。同神社の祈年祭(5月8日)の直会で参拝客に振る舞われるという。