2012年(平成24年) 5月22日(火)付紙面より
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庄内三大祭りのトップを切って酒田まつりの本祭りが20日、酒田市の中心市街地で繰り広げられた。雲一つない五月晴れと爽やかな風が吹く絶好の天候に恵まれ、日曜日と重なったこともあって昨年より3万人ほど多い約15万人(酒田観光物産協会調べ)の人出があり、メーンの山車行列が通る沿道は身動きできないほどの混雑。その中を昨年より1団体多い54団体、約3100人が、趣向を凝らした山車やみこしとともに威勢よく練り歩き、戦時下や酒田大火後でも祭りを中止しなかった港町・酒田の住民が受け継ぐ心意気を示した。
酒田まつり(旧山王祭)は、上(かみ)浜田一丁目)と下(しも)(日吉町一丁目)の山王社(後に日枝神社)の例大祭。江戸時代初期の慶長14(1609)年に始まり、これまで一度も欠かすことなく続けてきたとされる。1976年10月に発生した酒田大火からの復興を祝い市民を挙げた祭りにしようと、復興宣言が行われた79年に酒田まつりに改称。今年で創始403年を迎えた。鶴岡市の「天神祭」(25日)、「大山犬祭り」(6月5日)とともに庄内三大祭りと称される。
20日は正午から、マリーン5清水屋前で恒例の「式台の儀」。市指定無形民俗文化財の「亀ケ崎獅子舞」が披露された後、町奉行に見立てた阿部寿一市長と、羽織はかまに裃(かみしも)で正装し刀を帯びた上下の神宿組合代表が、祝言を交わした。
「酒田きやり保存会」(上林直樹会長)の祝い唄などに続いて午後1時、酒田のシンボル・大獅子を中心にした山車行列が清水屋前を出発。4月に開校した酒田光陵高生が引く東北復興の祈願山車「東北魂」、地元の幼稚園や小中学校、企業などの山車とみこしが繰り出し、本町通りから寺町通りを回るコースを、約3時間かけて練り歩いた。
大獅子の口に入れられ、かんだまねをしてもらった子供は丈夫に育つといわれる「バッコン」コーナーを、行列コースの中間点・大通りに設定。わが子の健やかな成長を願う親が幼児を連れて長い列をつくり、順番待ちしていた。
一方、19日には日和山公園で、「生まれたまちに誇りを!歴史といまをつなぐ夜」をテーマに宵祭りが行われた。日が暮れると、酒田青年会議所が制作した高さ約20メートルの巨大立て山鉾(やまぼこ)の内部照明が点灯され、祭りムードは最高潮。立て山鉾をバックに、市民や市出身者らがさまざまな伝統芸能やヒップホップなど多彩なパフォーマンスを披露し、詰め掛けた祭り客を楽しませた。