2012年(平成24年) 9月14日(金)付紙面より
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JA庄内みどり(阿部茂昭組合長)、東北日本ハム(澤田潔志社長)合同による米粉用米の稲刈りが13日朝、酒田市広野のほ場で行われた。同JAは今シーズン、約140ヘクタールのほ場で900トンほどの米粉を生産、ほぼ全量を食品原材料など製造・販売の波里(栃木県佐野市、藤波一博社長)に出荷。この一部を使用し東北日本ハムは小麦アレルギーに対応した「米粉パン」を製造する。
同JAは2010年1月、運営する酒田市の産直施設「みどりの里 山居館」内に高性能の製粉機を導入するなど、米の需要拡大策の一つとして米粉に着目。新しい製粉機導入に先立ち、市農政課や庄内みどり、そでうら両JAなどの農業関連11団体・機関で組織する市米粉利用推進協議会は09年、市内の食品製造など約300業者を対象とし、米粉利用の意向調査を実施した。
東北日本ハムは、食物アレルギーの人からも安心して食品を食べてもらいたいという願いを込め、小麦だけでなく、卵やソバ、落花生などの特定原材料を持ち込まない食物アレルギーに対応した専用工場「アレルギーケアー工場」を06年から稼働させている。
意向調査の際、利用を申し出た同社は10年からは地元産米粉で「米粉パン」を製造。これまでは食パンタイプのみだったが、今年7月からはロールパンタイプの「お米で作ったまあるいパン」がラインアップに加わった。
合同で稲刈りを行ったのは同市広野、農業、齋藤進さん(61)方のほ場で、同JA、同社、酒田市から計約20人が参加した。朝から気温が上昇する中、齋藤さんの指導を受けながら、同社の女性社員らが今年5月に自ら手植えした「はえぬき」の稲を次々と刈り取っていった。
齋藤さんによると、8月以降の日照りで高温障害が心配されたが、これまでのところ、影響はほとんどないという。「収量も良い方では」(齋藤さん)という。同社では「商品拡大でより多くの人に米粉パンを届けることができたら」と話していた。