2012年(平成24年) 7月12日(木)付紙面より
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鶴岡市立第五中学校(加藤忍校長)で9日、2年生対象の総合防災訓練が行われた。けが人を運びながら避難する「介助搬送」や、本物の消火器を使った初期消火訓練など、大規模災害を想定した本格的な訓練に生徒たちが取り組んだ。
訓練は第2学年PTA(富樫弘委員長)の主催で、放課後を利用したPTA活動の一環として実施。今月2日に2年生4クラスのうち2クラスで行われ、この日は残り2クラスの訓練となった。いずれも鶴岡市消防本部が協力した。
訓練には生徒約60人が参加。体育館に集まった生徒たちに富樫委員長が「今日の訓練は、助けてもらう側ではなく助けることができる側として知識や技術を学ぶもの。有事の際は1人の勝手な行動が大勢を巻き添えにする。真剣に訓練に取り組んでほしい」と呼び掛けた。
はじめに3人一組になり、けが人役を2人で抱えて廊下や階段を運ぶ搬送・避難訓練を行った。生徒たちは狭い階段で押し合いへし合いしながら、1階に到着。すぐにグラウンドに出て、天ぷら油火災、ストーブ火災を想定した初期消火訓練を行った。水ではなく消火薬剤が入った本当の消火器を使い、実際に燃え上がる炎に向かって散布した。
この他、煙が充満したテントを手探りで抜けるスモーク訓練や、「津波が来る」といった想定でグラウンドから校舎の上階へ再避難する訓練が行われた。再避難訓練では、けが人をしっかりと抱え切れず、階段の途中でバランスを崩す生徒もいた。
訓練後、佐藤匠君(13)は「スモーク訓練は周りが全然見えなかった。足元が冷たくて、下の方に空気があることを知った」、佐藤豪太君(13)は「けが人を抱えて階段を上るのは1人では無理。いざというときは協力することが必要と知った」とそれぞれ話していた。
富樫委員長は「東日本大震災後、校内で行われている従来の避難訓練だけでは、子供たちが自分の命を守れないのではと思い、本格的な訓練を試した。命について学ぶことは勉強などより大事な場合もある」と話していた。また、協力した鶴岡市消防本部の職員たちは「小中学校でこれだけ本格的、計画的な防災訓練が行われるのは聞いたことがない」と話し、生徒たちの訓練の様子を見守っていた。
2012年(平成24年) 7月12日(木)付紙面より
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庄内町狩川の立川中学校(渡部登美雄校長、生徒175人)で10日、浴衣の着付け教室が開かれた。NPO法人「和装教育国民推進会議」(本部・京都市)の県支部員たちの指導で、同校3年生が浴衣に袖を通し、正しい着方を学んだ。
同校は、推進会議が取り組んでいる和服や浴衣の着付け教室を活用し、2007年度から毎年この時期、家庭科の授業を利用して3年生が浴衣の着付けを体験している。庄内地区で授業に着付け教室を取り入れている中学校は立川中だけという。
推進会議県支部の小池泰弘副支部長や支部員、庄内各地の和服着付け教室の関係者など20人が同校を訪問。3年生61人が2クラスに分かれて着付けを教わった。生徒たちは支部が用意した浴衣と帯を手に取り、支部員たちから「下帯は腰骨の辺りできちっと留めて」などと指導を受けた。特に角帯の結び方が難しく、教わった「貝の口結び」を何度もやり直す姿も見られた。
男子は縞(しま)柄や壁画模様、女子は花柄やとんぼ模様などの浴衣をぴしっと着込み、昇降口付近の七夕飾り前で記念写真を撮るなどしていた。富樫和史君(14)は「浴衣を着たのは初めて。自分も友達も大人に見える。夏祭りなどでも着てみたい」と話していた。
小池副支部長は「本年度から中学校新学習指導要領の家庭科に『和服の基本的な着装』が盛り込まれ、浴衣の構造や着方などを学べるようになった。日本人が失いつつある着物文化を取り戻す最後のチャンス。中学生たちから帯の結び方などをしっかり覚えてもらい、外国で浴衣を着こなして日本の文化を表現してほしい。今後、各中学校の授業に着付け教室を取り入れてもらえたら」と話していた。