2012年(平成24年) 8月11日(土)付紙面より
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鶴岡市街地を流れる内川で、城下町の夏の風物詩「藻刈り」が行われ、川をゆったりと上り下りする川舟が、道行く市民の目を和ませている。
夏場になると毎年、川底に藻が茂り、ごみなどがたまって景観を損ねることから、川舟を所有する同市道形町の佐藤健治さん(76)に市が委託し、本町一丁目の鶴園橋から昭和町の昭和橋までの約800メートル区間で刈り取ってもらっている。
今年は先月下旬から作業が始まった。先端に大型の鎌の付いた棹(さお)で、長さ約8メートル、幅約90センチの木製の舟を巧みに操りながら、青緑色の藻を根気強く刈り取る。舟には砥石(といし)を備え、1日に何度も鎌の刃先を研ぐ。
日よけの菅笠(すげがさ)をかぶって藻刈りを行う佐藤さんは「今年は暑さもそうだが、雨がなく内川の水量が少なくて舟の移動が大変だ」と話す。川岸の並木から降り注ぐせみ時雨の下、舟を川面に滑らせると、その動きに気付いたハグロトンボがひらひらと舞った。
石積み護岸の川に浮かび、赤い欄干の三雪橋を背景にゆったりと漂う「藻刈り舟」は、城下町の風情を色濃く映し出し一服の清涼感を与える「夏の点景」。作業は来月いっぱい続く。
2012年(平成24年) 8月11日(土)付紙面より
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鶴岡市の慶應義塾大先端生命科学研究所で9、10の両日、「鶴岡・女川町中学生ワークショップ」が開かれた。鶴岡市と宮城県女川町の生徒たちが、最先端の科学に触れるとともに将来の日本の在り方について語り合った。
ワークショップは、先端研と学習塾・女川向学館の共同開催。震災を乗り越えた女川町の生徒たちを招待し、世界最先端の研究環境に触れ興味を持ってもらうとともに、地元の中学生とのグループ討議を通して「日本の未来」について考えてもらおうと初めて企画した。
今回は女川町3人、鶴岡市11人の計14人が参加。初日の9日は、先端研の冨田勝所長が講師を務め、鶴岡メタボロームキャンパスやバイオラボ棟を巡り、細胞内の物質を短時間で測定できるメタボローム解析装置の仕組みや藻から油を抽出するオイル産生藻の研究、最新鋭のDNA解析装置について説明を受けた。冨田所長は「メタボローム解析装置の価格はものすごく高く、普通の大学の研究施設はせいぜい1台所有しているくらいだが、ここには40台ほどあり、圧倒的に世界一。世界中の研究者が訪れる機会があるのだが、毎回驚かれている」などと説明していた。
参加した女川第一中3年の中村葵さん(14)は「最先端の研究施設が見学できてとてもワクワクした。今日の経験を生かし、科学を震災復興に役立てられる方法を考えていきたい」と話していた。
その後、レクチャーホールに移動し、3班に分かれてグループ討議した。参加者たちは「東北から日本の未来を創るにはどうしたらよいか」のテーマで意見を出し合った。10日は東京第一ホテル鶴岡で提言発表会を開き、グループで議論した内容を提言にまとめ発表し合った。