2013年(平成25年) 4月18日(木)付紙面より
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国土交通省は16日午後、日本海沿岸東北自動車道(日沿道)の未整備区間となっている朝日まほろば(新潟県村上市)―あつみ温泉間約41キロと遊佐―象潟(秋田県にかほ市)間約17キロの2区間について、新規事業採択時評価の手続きに着手したと発表した。整備費用を分担する県の意見聴取や費用対効果の審査を経て、2013年度の新規事業化を最終決定する。
両区間とも今後、今月中に開催される国交省の社会資本整備審議会道路分科会の地方小委員会で審議され、新規事業として妥当と判断されれば、同省事業評価部会での審議、国会による最終判断を経て、同省が13年度新規事業箇所として決定する。小委員会の開催を前にした意見聴取に対し、県は事業化を求める書面を提出する。
13年度予算に向けた新規事業候補箇所は全国で15件。このうち道路事業は10件で、高速道路関連は日沿道の庄内地域を挟む新潟、秋田両県境区間と、東北中央道・相馬福島道路(福島県)の計3件のみとなっている。日沿道の朝日まほろば―あつみ温泉間は「朝日温海道路」、遊佐―象潟間は「遊佐象潟道路」の事業名でそれぞれ自動車専用道路として整備され、日沿道の路線に組み込まれる。
両県境区間が13年度の新規事業化に向け大きく前進することを受け、長年にわたって整備促進を訴えてきた地元の関係者や沿線市町の首長らからは16日、「一日も早い開通を」と喜びの声が上がった。
吉村美栄子知事は「両県境区間については、これまで何度も国に提案、要望を重ねてきた。国の意見照会には新規事業化していただくよう回答したい。高速道路ネットワークが一日でも早く完成するよう取り組む」とコメントした。
沿線自治体のうち庄内開発協議会長を務める榎本政規鶴岡市長は「大きな前進で喜ばしい。強靭(きょうじん)な国土形成、防災・減災強化、救急医療を支える命の道、観光交流など地域の発展に欠くことのできない重要な社会基盤であり、新規事業化決定まで関係者から引き続き支援を願いたい」、本間正巳酒田市長は「日本海側の大動脈である日沿道の全線開通に大きな弾みになると同時に、庄内の地域経済や住民活動の活性化、国土の骨格である日本海軸の構築に大きく寄与すると確信する」と大きな前進について喜びを語った。
時田博機遊佐町長は「二十数年来の悲願が実現する。多くの人々が関わってきたことを思うと、とてもうれしい」と語り、「単なる通過点にならないよう、地域づくりに取り組みたい」と決意を込めた。