2013年(平成25年) 6月1日(土)付紙面より
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4日に執り行われる田元小路地蔵尊(鶴岡市本町三丁目)の例祭で、地蔵尊周辺の民家などに掲げる地口行灯が製作された。行灯にはユーモラスな川柳とイラストが描かれ、祭り前日の3日から設置される。
同地蔵尊は、南北約200メートルの小路を中心とした閑静な住宅エリアにある。禅龍寺(同市新海町)の末寺で、記録上では少なくとも江戸中期ごろには本堂があったとされる。現在は小さなお堂(地蔵庵)と、地蔵様を祭ったほこらが残されており、「安産地蔵」として親しまれている。
近年は核家族化などの影響で例祭への参加者が減少。「地域のつながりを取り戻そう」と考えた地元有志が昨年、広く例祭への参加を呼び掛けた。今回はさらに祭りを盛り上げようと、昔ながらの下町風情にふさわしい地口行灯を設置することにした。
同地蔵尊の世話人会によると、昔は例祭の時期に小路に行灯が設置されたが、次第に廃れ現在は2、3個しか残っていないという。そこで地蔵尊の講長を務める菅原茂晴さんが行灯の新調を提案。昨年の例祭直後から知人の同市三和町の佐藤幸治さんに行灯の製作を依頼し、今年5月まで40個余りが完成した。制作費は全て菅原さんが負担した。
新調した地口行灯は高さ約30センチ、幅約20センチ、奥行き約10センチ。木材の骨組みに障子紙が張られ、「老々が声朗々と歌を詠む」といった地元愛好会の川柳や、小林一茶の「半分は人のあぶらか稲の露」の句などが書かれている。人々の笑顔や古里の風景などを題材にしたイラストは全て川柳に合わせて佐藤さんが描いており、同じ絵は1つもない。
菅原さんは「小路周辺の民家や、協賛してくれた個人商店、地元金融機関などに行灯を設置する。祭りを盛り上げることで、希薄になった近所付き合い、地域の絆を取り戻したい」と話していた。
例祭当日は午前10時から地域の繁栄や無病息災を願う「数珠回し」が行われる。境内では参拝者全員に無料で綿あめが振る舞われる。