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2013年(平成25年) 5月11日(土)付紙面より

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咲き競う紫のじゅうたん 鶴岡市温海川カタクリ園 地元の大井さん、遊歩道など整備

 里山に春の訪れを告げる花・カタクリが多く自生する鶴岡市温海川の「温海川カタクリ園」で、花が見頃を迎え、行楽客の目を楽しませている。

 温海川地区には、10万株以上のカタクリが楽しめるスポットがあり毎年、4月下旬から5月上旬にかけて咲き始める。地元で「農家レストランキラリ」を経営する大井喜助さんが、カタクリの花の保全や新たな観光名所になればと、カタクリが自生する土地の所有者の了解を得て遊歩道などを整備し、今年から「カタクリ園」として開設した。

 大井さんによると、今年は寒い日が続いた影響で雪解けが遅れ、例年より4、5日ほど遅い今月4日ごろに咲き始めた。5日ごろに満開となり、見頃は今週いっぱいまでという。

 カタクリ園は、農家レストランから西方約500メートル付近にある。頭を垂らすかれんな姿をみせるカタクリの花が競うように咲き誇り、辺りには薄紫色のじゅうたんが広がっている。

 大井さんは「今年は多くの温泉客から足を運んでいただき、とても喜んでもらった。温海川のカタクリを観光の目玉にしていきたい」と話していた。

紫色のかれんなカタクリの花が競うように咲き誇っている=4日、鶴岡市温海川
紫色のかれんなカタクリの花が競うように咲き誇っている=4日、鶴岡市温海川


2013年(平成25年) 5月11日(土)付紙面より

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「化けもの」に変身 天神祭を学ぶ朝六小で講座 一足早く祭り気分味わう

 天神祭(今月25日)をテーマにした出前講座が10日、鶴岡市立朝暘第六小学校(佐藤清雄校長、児童808人)で開かれ、同校の児童たちが「化けもの」の衣装を着るなどして、伝統の祭りについて学んだ。

 講座は、庄内三大祭りの一つに数えられる天神祭について子どもたちから理解を深めてもらおうと、同祭企画委員会広告宣伝部会(山之内潔部会長)が毎年、旧鶴岡市内のナンバースクールを巡回して行っている。

 講座には同校4年生128人が参加。同部会メンバーら約10人が訪問し、紙芝居で祭りの由来などを説明した。

 続いて代表児童4人が、同部会メンバーや他の児童に手伝ってもらいながら、長じゅばんと顔を隠す手拭い、編み笠を身に着けて祭りの主役でもある「化けもの」に変身。化けものたちが祭りと同じように無言でジュースを振る舞うと、児童たちは「もっとちょうだい」と紙コップを差し出し、一足早く祭り気分を味わっていた。

 化けもの姿になった須藤叶羽(かのは)さん(10)は「ジュースを注ぐのがとても楽しかった。また化けものになってみたい」と笑顔で話していた。

長じゅばんや手拭い、編み笠を身に着け「化けもの」姿になる児童
長じゅばんや手拭い、編み笠を身に着け「化けもの」姿になる児童


2013年(平成25年) 5月11日(土)付紙面より

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森の時間64 ―山形大学農学部からみなさんへ―

コーボー・サミット  小山 浩正

 赤川を河口から遡って梵字川と分かれる地点まで、両岸にある神社や祠を探し回ったことがあります。大小あわせて70くらいを見つけましたが、ほとんどが大木の木陰で見つかります。だからすぐに鼻が利くようになって、遠くからでも巨木を手がかりに簡単に探せます。治水技術のおかげで出水の脅威はかなり減りましたが、昔の赤川は手強い暴れ川だったはずです。そんな川の側にも関わらず巨木が残っている所は、それだけ長いこと被害がなく安全だった証です。だから「氾濫しそうになったら、あの木へ逃げろ」という目印になり、それがいつしか信仰となっていっても不思議はありません。仙台には昔の津波が到達した境目に「浪分神社」が建てられています。三陸にも同様の石碑が点在するそうです。同じような考え方が氾濫原でも根付いたのではないでしょうか。

 一般に、こうした河岸の社には水神の代表格である金比羅(琴平)が祀られますが、治水の代名詞である弘法大師の祠もかなりあります。ところが、庄内では弘法さんが対岸に行きたいと頼んだのに舟を出してくれなかったので、腹いせに呪文で川を氾濫させたという伝説が残っています。仏道を究めた人にしては大人気ないし、そもそもそんな法力があるなら舟が無くとも渡れるでしょ?とツッコミたくなりますが、平凡な聖人伝説より断然面白い。その弘法さんが六十里越を訪れて、途中腰掛けて清水を飲んだと伝えられる「柳清水」では、食事の後に箸を地面に刺したら芽吹いて育ったというヤナギの木があります。

 実は、私たちも野外調査で弁当の箸を忘れると、やはり辺りの小枝を折って調達します。ヤナギは再生力が強く、自然に落ちた枝から繁殖することもあるし、伐り集めた小枝を地中に埋めて林を造る「埋枝工」という技法もあるくらいなので、急ごしらえで調達した箸がヤナギだったのなら、刺した枝が根付くのは全くあり得ない話ではないのです。少なくともブナやナラでは無理な芸当なので、ヤナギを題材としているところに一分のリアリティーがあり、この民話が樹木の知識に裏打ちされたものであることを物語っています。先日尋ねた戸沢村にも、同じく箸に使った枝から育ったという天然記念物のヤナギがありました。興味深い一致です。

 弘法にまつわる面白い話がこんなに揃っているのだから、庄内の話題作りに使えないだろうか?とある同僚に話したら「弘法大師なんて全国に伝説があるから、それでは売りにならないだろうよ」と言われました。確かにそうですね。だったら「弘法サミット」はどうでしょう?全国から募って「弘法さんはうちの街でこんな事やった」と自慢しあうのです。密教界のスーパースターの意外な奇行がたくさん暴かれそうでワクワクします。守護聖人なのに川を氾濫させた庄内の弘法さんは、その中でも金メダル級ではないでしょうか。

(山形大学農学部教授 専門はブナ林をはじめとする生態学)

赤川頭首工と赤川=自然写真家・斎藤政広(1998年9月12日撮影)
赤川頭首工と赤川=自然写真家・斎藤政広(1998年9月12日撮影)



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