2014年(平成26年) 10月1日(水)付紙面より
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山形大農学部の学生たちが29日、鶴岡市大半田の赤川河川敷で、川を遡上(そじょう)するサケを捕まえる「やな」作りを行った。赤川鮭漁業生産組合の依頼を受けての手伝いで、竹を組み合わせて針金で固定する作業に汗を流した。
同組合は毎年10月ごろ、サケの卵を採取する目的で赤川にやなを仕掛けている。やなの材料となる竹は常に水流を受ける状態で、長く持っても1、2年が限度で、近年は毎年9月中下旬ごろに新しく竹を組んでやなを作っている。しかし組合員数の減少や高齢化に伴い、やなの作り手も不足しているという。同組合は今回、県水産課を通して山形大農学部に協力を依頼。これを受けて食料生命環境学科・水土環境科学コースの中で渡邉一哉准教授の研究室メンバーがやな作りを手伝うことになった。
この日は午前9時ごろから作業を開始。午前中は4人の学生が参加した。組合員が約2メートルの唐竹に針金を通し、学生たちが10本の竹を連結させて固定した。やなを完成させるためには、10本を1組として計140組が必要。50組はすでに出来上がっており、残り90組を作らなければならないという。
午後からは渡邉准教授や応援の学生も駆け付け、6人で作業を進めた。農学部3年の大場梢さん(21)は「普段、針金を使うことがないから作業は大変だが、だんだん慣れてきた。やながどんなものになるのか、完成したものを必ず見たい」と話していた。
学生たちは間もなくサクラマスの遡上調査に入るため、やな作りの手伝いは基本的にこの1日だけで、時間があれば希望者が再び手伝いに行くという。
2014年(平成26年) 10月1日(水)付紙面より
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鶴岡市三瀬地域の間伐材を活用した子ども用食器が製品化され29日から、モニターとして地元の三瀬保育園(本間日出子園長、園児56人)で使い始めた。身近な森の木から作られた食器に子どもたちは大喜びで、企画したNPО関係者は「顔が見える食器として、木育や食育のきっかけになれば」と話している。
地域材を活用した食器作りを企画したのは、地元有志でつくる地域づくりNPО「百年(ももとせ)デザイン研究所」(本間真弓代表)。土砂災害で流出した杉や道路整備で伐採された桜など廃棄処理される木を活用した木工品作りに取り組む中で、「器を手にした子どもたちが地元の風景を思い出し、地域に愛着を持つ手助けになれば」(本間代表)と、地元にこだわった子ども用食器作りを進めてきた。
林業家の加藤周一さん(58)=三瀬=が薪などに使われるクルミやクワ、ホウノキなどの間伐材を提供。「岡村木地挽木工所」の岡村安雄さん(79)=大山二丁目=が木を削り、子どもが使いやすい食器へ。さらに同研究所で塗装や木の種類を食器の裏底に刻印するなどし、約1年半かけて汁わんとおかず皿、箸など50セットを完成させた。趣旨に賛同した秋山鉄工(鶴岡市宝田一丁目)が資金面で協力した。
モニターとして使ってもらおうと、年間を通して森に親しむ保育活動を展開している同保育園に提供。初日のこの日は本間代表や加藤さん、岡村さんらも同園を訪れ、園児と交流しながら、昼食時には園庭でかまどで炊いた新米ご飯や空揚げ、サラダなどのおかずを一緒に味わった。
本間園長は「木のぬくもりが子どもたちもうれしそう」と話し、年中児の松本晏慈君(5)は「いつもの給食よりおいしい」と笑顔で話していた。
食器セットは同保育園で1カ月使用した後、市内の別の保育園でもモニター使用する予定。本間代表は「処分される木から器ができることを知ってもらい、日々の食卓で子どもたちが地域の風景を思い描く想像力などにつながれば」と話している。
食器セットは1組7400円(税込み)で予約販売もする予定。問い合わせは本間代表=電090(4631)1523=へ。