2014年(平成26年) 10月10日(金)付紙面より
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酒田市の酒田光陵高校(阿部進校長、生徒1236人)は市内2つの福祉施設、市と連携し、8日から施設利用者が製造した弁当を生徒たちが校内販売する「授業」を開始した。福祉施設の収益増を図るとともに、同校では生徒たちがより実践的にマーケティングを学ぶ絶好の機会と捉えており、“売り子”を務めた生徒は「福祉施設の商品には良いものがたくさんある。PRの部分で助けになりたい」と話している。
福祉施設の収益増を目指して昨年、今春に卒業した当時の同校商業科3年生は、今回も出店しているNPO法人「ホールド」(同市東町)と共に「豚バラ丼」を開発、食に関するイベントで販売し好評を博した。
今年の取り組みは、同科3年生のうち「CSR(企業の社会的責任)」について理解を深めている女子生徒12人、指導する梅津吉絵教諭が「これまで学んできたマーケティングの知識を福祉の現場に生かそう」と、ホールド、「あすなろ福祉会」(同市緑町)、市福祉課と共に企画。両施設利用者が製造した弁当を生徒が校内で販売、接客、購買動向などのマーケティングリサーチも担うことにした。
初日の8日は昼食時に同校エントランスホールで販売開始。両施設のブースにはチャーハンや焼きそば、空揚げなどが並び、CSR履修の女子生徒たちはエプロン姿で生徒や教職員に購入を勧めたほか、食べた生徒らを対象にアンケート調査を実施した。
販売を担った生徒の一人、金内茜さん(17)は「福祉施設では良い商品を作っているが、PR不足、大量生産ができないといった課題がある。課題の解決に向けて私たちが力になり、生活の向上に少しでもつながれば」と。あすなろ福祉会が運営する障がい者支援事業所「あすなろ」の阿部智子施設長は「福祉施設のことを多くの人から知ってもらいたい。今回のように、地域の中で障害者と一般の人が触れ合う機会がもっと増えれば」と話していた。
2014年(平成26年) 10月10日(金)付紙面より
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「景観まちづくりシンポジウム―酒田 これからのみなとまちづくり」が8日、酒田市の東北公益文科大公益ホールで開かれ、地元内外の関係者によるパネルディスカッションで「湊(みなと)まち酒田」の景観や魅力づくりについて考えた。
NPO法人酒田みなとまちづくり市民会議(高橋英彦理事長)がやまがた社会貢献基金の助成を受けて開いた。官民が一体となって酒田の景観を考えようと本年度に開く8事業の初回で、約100人が参加した。
初めに、同市民会議の渡部芳久副理事長が、今年6月に本間美術館(同市御成町)近くの看板を低くする改修工事を行った取り組みを報告。同美術館内の庭園「鶴舞園」が2012年1月に国指定名勝庭園に指定されたことを踏まえ、庭園からの景観の改善を図ったもの。報告後、同美術館の田中章夫館長が、看板を所有する日野プランニングの阿部護社長に感謝状を贈り、協力をたたえた。
続くパネル討論では、今年8月に本県初の「みなとまちづくりマイスター」に認定された酒田まちづくり開発の西村修社長、同マイスターで新潟市のにいがた湊あねさま倶楽部代表の小島富美子さん、同マイスターを認定するウォーターフロント協会の橋間元徳専務理事、酒田青年会議所の櫛引柳一理事長の4人が意見を交わした。
「みなとオアシスSea級グルメ全国大会を酒田でも開いては」(橋間さん)、「近くに土地を確保するめどが立ち、来年にも屋台村整備に取り掛かりたい」(西村さん)、「(酒田まつりの立て山鉾を動かすためにも)電柱の地中化を実現化させたい」(櫛引さん)、「新潟の景観は(住民の取り組みで)見事に変わった。今は第2期で、美しさだけでなく、生活の息吹を入れていけるかが課題」(小島さん)などの話が出た。
開会に先立つ来賓祝辞で、東方水上シルクロード貿易促進協議会の新田嘉一会長は「酒田港の発展こそ、酒田の生きる道」、元国土交通省酒田河川国道事務所長の菊地身智雄国土交通大臣官房技術参事官は「かつては『西の堺、東の酒田』とうたわれ、酒田は港と共に発展してきた」など、酒田における港とその発展の重要性を強調した。