2014年(平成26年) 10月17日(金)付紙面より
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中小企業地域資源活用促進法に基づく地域産業資源活用事業計画に、庄内産そばと庄内米を活用したアルコール飲料「そばどぶ」のブランド化を目指す、飲食業、菓子製造業などの「出羽」(酒田市両羽町、岡部信之社長)の計画が15日付で認定された。同社による販路開拓などに対し、国から補助金交付などの支援が受けられる。東北経済産業局と東北農政局、仙台国税局が認定した。
同法は地域資源を活用した商品開発などを行う中小事業者の支援が目的。活用すべき地域資源を指定して都道府県が策定した基本構想に基づき、事業者が事業計画を国に申請。認定されると、国から開発段階の事業費への補助、設備投資減税、政府系金融機関の低利融資、専門家のアドバイスなど総合的な支援を受けることができる。同法に基づく認定は庄内地域で6件目。
国が地域限定で規制を緩和し地域活性化を推進する「構造改革特区」で酒田市が「どぶろく特区」に認定されたことを受け、同社は2006年からどぶろくを醸造している。
過剰供給によってソバの価格が低迷しているという現状を踏まえ、同社は醸造に関するノウハウを生かして4年前からソバと米を使ったどぶろくの開発に着手し、このほど完成。「辛口のアルコール飲料としてマニアックながらニッチな新しい市場」(岡部社長)の開拓を目指す。
認定書交付式は15日、酒田市庁舎で行われ、東北経済産業局新事業促進室の田中祐正室長が岡部社長に認定書を手渡し、「認定は新たなスタート。事業が成功し、地域活性化につながってほしい」と激励した。これを受け、岡部社長は「ソバの消費は急激には増えないため、新商品の開発が必要と思った。素材の持つ特質を最大限に生かせるよう、ブラッシュアップに努めていきたい」と述べた。
「そばどぶ」のアルコール度数は12―13度。試作販売は始まっており、180ミリリットル入り540円、720ミリリットル入り1944円(いずれも税込み)。同社運営の「手打そば出羽」で購入可。岡部社長は「風味、味わいともまだ発展する余地はあると思う。少しでも酒田のソバ農家の役に立ちたい」と話していた。
2014年(平成26年) 10月17日(金)付紙面より
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ノーベル化学賞受賞者で鶴岡市立加茂水族館名誉館長の下村脩博士(86)=米国在住=の講演会が15日、同市の鶴岡南高校の鶴翔同窓会館で行われ、生徒らを前に「難しいと思ったことを絶対諦めずにやり遂げて」とメッセージを送った。
名誉館長の辞令交付で来鶴したのに合わせ、鶴岡市が主催。鶴南高の1、2年生約400人と山添校の希望者、一般市民、関係者ら合わせて約500人が参加。下村博士は「緑色蛍光タンパク質発見とノーベル賞受賞へのみちのり」と題し、スライドを上映しながら少年期の生い立ちやノーベル賞の授賞式の様子なども含めて話した。
少年期については、祖母から「米粒を残してはいけない」「首あかがあると打ち首になった時に見苦しい」など厳しく育てられたと紹介。戦後に指導を受けた教授たちとの出会いを振り返りながら、クラゲの発色を調べるために家族で毎日バケツ50杯のクラゲを採取していたなどと話し、「緑色蛍光タンパク質(GFP)は働きの違う神経細胞を違った色で染めることができるなど、医療や生物学の研究で多用途に使われている」と話した。
生徒たちに向かっては「難しいことほどやり遂げると自分に自信ができる。そしてまた次の難しいことを確かめたくなる。絶対に諦めないで」と呼び掛けた。講演後には生徒たちの質問も受け、「GFPの色は何種類ぐらいあるのか」という問いに「ほとんど無限」と答えるなど交流した。