2015年(平成27年) 8月22日(土)付紙面より
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遊佐町杉沢地区に伝わる国指定重要無形民俗文化財「杉沢比山(ひやま)」が20日夜、地区の鎮守・熊野神社で奉納上演され、洗練された美しい舞が観客を魅了した。
杉沢比山は、山伏修験者により伝承された雅楽「番楽」の一種。鳥海山修験の隆盛期に端を発し、様式などから鎌倉時代には舞われていたとみられている。美しくユニークな型、鮮やかな舞で芸術的価値が高いと評価されて1978年、国の重要無形民俗文化財に指定された。
8月6日の「仕組(しくみ)」を皮切りに、同15日の「本舞(ほんまい)」、同20日の「神送(かみおくり)」の計3回、同神社境内に設置した約3・6メートル四方の畳敷き舞台で奉納上演される。
「神送」の20日は心地よい涼風が吹く中で行われた。午後7時すぎ、舞がない謡「かけ謡(うた)」でスタートし、八幡太郎義家の家来・鎌倉権五郎景政の戦いぶりをたたえる「景政」、途中に鬼が登場する「高時」などが地区民によって次々と披露された。また、地元・蕨岡小学校6年児童がそれぞれの舞の特徴を解説した。
神社そばを流れる熊野川のせせらぎの中、杉木立に囲まれた神社境内に舞台だけがくっきりと浮かび上がると幻想的な趣に。地区民や行楽客は時のたつのも忘れ、舞の数々に見入っていた。
2015年(平成27年) 8月22日(土)付紙面より
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イタリア・ミラノの高級レストラン「トラサルディ・アッラ・スカラ」のロベルト・コンティ料理長(32)らが20日、鶴岡市を訪れ、出羽三山神社の精進料理を堪能し、料理に込められた鶴岡の精神文化と伝統的な食文化に触れた。
鶴岡市は、「食」をテーマに開催中のイタリア・ミラノ国際博覧会(万博)の日本館に10月2、3の両日出展し、日本で初めて認定されたユネスコ食文化創造都市をアピールする。これに合わせ、トラサルディのレストランで現地の食関連の関係者やマスコミ、旅行業者らを招くレセプションを計画。鶴岡市のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」の奥田政行オーナーシェフ、出羽三山神社斎館の伊藤新吉料理長、ロベルト料理長が、だだちゃ豆など鶴岡の食材や現地の食材を使った料理を提供する。この打ち合わせも兼ねて来鶴した。
出羽三山神社斎館では、ごま豆腐のあんかけ、月山筍(だけ)の煮物、キクのおひたしなど13品の精進料理が提供された。伊藤料理長が各料理には出羽三山の名所や拝所を示す意味があることを解説し「食材は出羽三山やその付近で採れた物を使っている。精進料理には、お山のエネルギーを頂いて帰るという意味もある」など説明した。
ロベルト料理長は香りを嗅いだり、調理法などを確認し、「いろいろな調理法が用いられ、さまざまな食感を楽しめるのが印象的。口の中に複雑な味が広がり、素晴らしい料理だ。ナスを生で食べる民田ナスの漬物が珍しい。とてもおいしい」と感想を話した。
ロベルト料理長は、トラサルディのルカ・チナッキ料飲部門責任者らと共に、21日までの1泊2日の日程で、だだちゃ豆など鶴岡の在来作物や海産物の視察、イル・ケッチァーノでの料理試作などを行った。