2016年(平成28年) 4月22日(金)付紙面より
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酒田市日吉町二丁目の旧割烹(かっぽう)小幡前に、平日の日中のみ開店する「日和山カフェ」がオープンした。市内の障害者支援団体が「酒田のまちのにぎわい創出に」と試行的に開店したもので、団子や弁当の販売、観光案内を通じて行楽客をもてなし、にぎわいを見せている。
旧小幡は、酒田港本港を見下ろす日和山の頂上に、明治期に建てられた2階建て和風建築と昭和初期に建てられた3階建て洋館の2棟で構成。1996年に営業をやめたが、2009年に米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」で洋館が「NKエージェント」事務所として使われたことから、同年4月から洋館内部を公開。その後、来館者の減少や老朽化で14年3月から内部公開をやめている。
ここにカフェをオープンしたのは、市内の障害者支援団体でつくる市障がい者地域自立支援協議会。今年2月ごろから建物を所有する市に働き掛け、6月末までの期限付きで障害者の就労支援の一環として試行することが認められた。
今月8日から平日の日中、和風建築前に野だて傘や緋(ひ)毛せんの休憩席を設けて開店。関係団体の利用者や職員らが着物姿で「大正ロマン」を演出しながら、団子や弁当、玉こんにゃく、障害者たちの就労成果品である手芸品などを販売。市から借りた「おくりびと」の写真パネル展示、観光パンフレット配布も行っている。
日和山は北前船で栄えた本港を見下ろす眺望のほか、市民の憩いの場になっている日和山公園、著名人の句歌碑を集めた「文学の道」、市民の精神的なよりどころである日枝神社、各種歴史資料を保管・公開する光丘文庫、即身仏2体を安置する海向寺など、酒田の歴史・文化・観光資源が集中する「酒田のへそ」。しかし、旧小幡が入館できなくなった上、頂上にかつて3軒あった売店も順次閉店し、寂しくなっていく感は否めない。
カフェ開店で中心となっているNPO法人あらたの齋藤緑代表理事はそうしたすう勢を挙げ、「自分たちにできることで、日和山から酒田の良さを発信し、活気を取り戻す力になれば。参加している障害者もまちづくりに関わる自覚で生き生きしている」と話した。
カフェは天気の良い平日の午前10時ごろ―午後3時ごろに開店している。