2016年(平成28年) 4月22日(金)付紙面より
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山形大農学部と鶴岡市などは20日、農学部の学生で就農に意欲のある学生やUIJターンによる就農希望者らを総合的に支援する「地域定住農業者育成コンソーシアム」を設立した。大学農学部が主体となって地域を挙げて新規就農者の育成、定着に取り組む組織を設けるのは全国初という。
同学部によると、毎年約160人の卒業生のうち、県内で就農するのは1、2人。県外出身の学生の中には学んだ地域の鶴岡、庄内で就農に意欲を持つ人も少なくないが、資金や農地取得などの課題があり、学部だけではこうした学生への対応は難しい面があるという。一方で、農業を志向するUIJターン者がいるものの、自立した農業経営を確立するには同様の課題がある。
このため農学部と市は、農業で自立して定住を希望する人や若手農業者をサポートする支援組織の立ち上げを検討。県庄内総合支庁や鶴岡市内のJA、金融機関、商工団体、農学部OBら14団体・個人で設立した。事務局は農学部に置く。
コンソーシアムを構成する各団体や農学部OBらでつくる「青年就農サポーターズクラブ」が中心となり、就農希望者や若手農業者向けの相談活動、技術研修、住宅・生活支援、農地支援、農産物販売支援など幅広い分野でサポートを展開する。
8月にはビジネス化支援の一環で、30人程度を対象に「食と農のビジネス塾」を有料で開講。来年2月までほぼ週1回ペースで計160時間の講義や実習を行い、農産物の栽培管理など技術指導や個別の経営計画書作成、販路開拓など農業経営確立に必要な技術や知識を伝授する。
コンソーシアムの設立総会は山大農学部で行われ、参加団体などから約30人が出席。会長に就いた林田光祐農学部長は「鶴岡、庄内で農業をしたいという声を学生や卒業生から聞く。卒業生が鶴岡で就農するには高いハードルがあったが、組織の設立で希望者が増えることを期待する。地方創生への役割を果たしていきたい」と語った。当面の目標として、年間で卒業生5人、UIJターン者3人の就農を目指す。
農学部は今後、学生が単位を取得できるプログラムも設定する考え。就農対象地域は当初は鶴岡市に限るが、今後拡大していく。