2016年(平成28年) 9月14日(水)付紙面より
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第31回オリンピック競技大会(リオ五輪、8月5―21日、ブラジル・リオデジャネイロ)の競泳男子に出場した鶴岡市出身の小関也朱篤(やすひろ)選手(24)=ミキハウス、羽黒高出=の支援団体「リオ五輪・小関也朱篤選手を支援する会」(会長・榎本政規鶴岡市長)の報告会が12日、東京第一ホテル鶴岡で行われた。帰省した小関選手も出席し、「2020年の東京五輪に向けて気持ちを切り替えた。次は鶴岡へメダルを持ち帰りたい」と決意を表明した。
報告会には支援者など約120人が出席。小関選手が入場すると会場は大きな拍手に包まれた。初めに支援する会会長の榎本市長が「今回はメダルに届かなかったが、小関選手は大きな伸び代がある。これから4年間、東京五輪を目指す小関選手を応援する楽しみができたことを喜びたい」とあいさつ。
続いてブラジル・リオデジャネイロに派遣された応援団を代表し、小関選手の元コーチ・木村憲さん(キムラスイミング代表)が100メートル平泳ぎ(決勝6位)、200メートル平泳ぎ(決勝5位)、400メートルメドレーリレー(決勝5位、第2泳者)の各成績を報告した。また、小関選手の両親などが現地での応援の様子について語った。
激励金や花束贈呈の後、小関選手があいさつし「目指していたメダルに届かなかったが、どの種目でも力を出し切れた。今ここでこれほど多くの方から応援されていることを再確認し、モチベーションが上がった。2020年には必ず鶴岡へメダルを持ち帰りたい」と決意を語った。
鶴岡市体育協会の渡部正芳会長の音頭で乾杯し、テーブルを囲みながら和やかに懇談。出席者たちはリオ五輪を振り返るとともに、東京五輪に向けて小関選手を激励していた。
2016年(平成28年) 9月14日(水)付紙面より
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元衆院議員の加藤紘一氏の逝去を受け、鶴岡市大東町の自宅前にある事務所「精三会館」に弔問の記帳所と献花台が設けられた。13日午前中、市民が次々と足を運び、官房長官や党幹事長として長らく活躍した故人との別れを惜しんだ。
記帳所、献花台は12日に設置。13日午前は弔問客が会館入り口の記帳台に名前を記し、奥の一室で遺影や花が飾られた献花台に向かって手を合わせた。同窓生の市内の女性(77)は「子どもの頃から温厚で優秀な人柄だった。訃報を聞いて驚いた」と話した。
また、選挙活動を手伝ったという酒田市の男性(78)は「気さくな面がある方で、酒田市を訪れると『今日はあのラーメン屋に行こう』と誘ってくれた。政界を引退したが、庄内のためにいろいろ助言してくれると思っていた。早過ぎる逝去」と故人をしのんだ。献花台は17日まで設置する。時間は午前9時―午後6時。
自民党本部は12日、党と加藤家の合同葬を15日正午から東京都港区の青山葬儀所で行うと発表した。葬儀委員長は安倍晋三首相(党総裁)、喪主は加藤氏の妻の愛子さん。同党県連によると、鶴岡市で後日「お別れの会」を開く。
2016年(平成28年) 9月14日(水)付紙面より
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「正確さ」と「速さ」の間で遊んで学ぶ 小山 浩正
スピードゴルフというスポーツがあるそうです。18ホールを出来るだけ早くホールアウトするのを競います。通常のゴルフが4時間くらいかけるところを40?50分でまわるので、「正確さ」に加えて「速さ」が要求されます。気持ちが先へ先へと焦ってメンタルも鍛えられそうです。
これと似たような焦燥感にかられる競技をしていたことがあります。それが毎木(まいぼく)調査ゲーム。毎木調査とは、森林の生育状況を調べるために区画内にある一本一本の木について樹種を識別し、高さと太さを測定しながら記録していく「仕事」です。仕事ですから「正確」と「速さ」が求められます。北国では雪の上の方が動き回りやすいので、昔は山スキーを履いて冬期に行う業務でした。
かつて北海道の林業系公務員の間で、これをゲームにして競った「伝説の競技」がありました。冬なので広葉樹の葉は落ちています。だから、枝ばりや樹皮の様子だけで樹種を識別せねばなりません。直径は巻尺で実測しますが、樹高は目測です。高さの見当をつけるのはとても難しく、若手はこれで難儀します。そのぶん、体力にまかせて駆け回りますが、段取りがモノをいうのでベテランの手際に軽くいなされることもしばしば。決して力まかせでない知識と経験を要する総合競技なので、老いも若きも楽しめました。広大な北海道のそれぞれの出先から職員が一堂に集って競い合ったのです。林業では山にどれだけ木材ストックがあるのか、つまり在庫の把握が大切なので、こうしたゲームは職員の調査技能を磨くのにもってこいの訓練だったわけです。他の職場に負けたくない先輩たちに厳しくしごかれました。それもまた職場の一体感を生んでいたと思います。ところがある時、「公務員が遊んでいる」と糾弾され、あえなく自粛となりました。
しかし、その効用を強く確信していますので大学に赴任してから学生の実習で復活させています。こちらは夏のプログラムなのでスキーではないし、葉がついているから識別もしやすく、競技としてはやや安易です。でも、まだ木の名前さえ覚えたての学生にはちょうどよいレベルともいえます。やってみると、やはり難しいのは樹高の目測で、平気で10メートル以上ずれるチームも出てきます。もちろん、それは大幅な減点となって罰ゲームが待っています。プレーヤーの学生は毎年変わるので、対象とする木を決めておき同じルートを回らせると、同級生だけでなく先輩の記録にも挑戦することになります。歴代ベストやワースト記録が出ると、歓声とため息と笑いでなかなかの盛り上がりです。(楽しく技能を磨いて何が悪いのだろう?)
「つるおか森の時間」や子供たちの教育プログラムにも取り入れてみたいと思っています。オリンピックの野球やソフトボールと同じで、一度は廃止に追い込まれた競技が教育やイベントのプログラムとして日の目を見るなら素敵じゃないでしょうか。
(元山形大学農学部教授 専門はブナ林をはじめとする生態学。筆者は今年3月に急逝されました。原稿は生前に寄稿していただいていたものです)