2017年(平成29年) 11月11日(土)付紙面より
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酒田市飛島沖などで行われた鶴岡市の県立加茂水産高校の実習船・鳥海丸(233総トン)による実習航海で、クロマグロ計46本が漁獲され9日午後、このうち42本が酒田市の酒田港に水揚げされた。42本のうち9本は100キロ超で、最も重いものは135・5キロ。マグロは早速、県漁業協同組合酒田支所内で競りにかけられた。
今年の実習航海は、海洋資源調査のため同校海洋技術科工学系2年生12人と指導教官、同船乗務員計29人が乗り組んで9月11日にスタート。スルメイカ、カニかごの実習を終えて10月15日から3日間、飛島の西方約18キロ沖合でマグロはえ縄漁を学び、この間に採取したクロマグロ4本は神奈川・三崎港に水揚げした。
当初はその後、太平洋上で実習を行う予定だったが、悪天候のため中止に。飛島沖に戻って同29日から10日間、再びマグロはえ縄実習に取り組んだ。専任指導教官の白澤誠教諭によると、一日で12本上がった日もあったという。
「マグロが海面から跳ね上がる瞬間を初めて見ることもできた。漁を見学していた生徒からは『でっけー』という歓声が上がった。生徒たちにとって思い出深い実習になったはず」(白澤教諭)という。
同船は8日に酒田港に入港。生徒たちは9日午前に行われた解散式終了後に帰宅した。同日午後の水揚げ作業では漁協関係者、仲買人らが見守る中、冷凍されたマグロが船倉からクレーンで引き上げられ、次々と県漁協酒田支所に運ばれた。
2017年(平成29年) 11月11日(土)付紙面より
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酒田商工会議所(弦巻伸会頭)の創立120周年記念特別講演会「日本企業の中で輝き続けている方たちの鼎談(ていだん)」が9日、酒田市公益研修センターで開かれた。ANA総合研究所代表取締役副社長の河本宏子さん、資生堂顧問の関根近子さん、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド執行役員の永嶋悦子さんの女性3人の鼎談を通じ、人が輝く企業の在り方などを考えた。
同商議所が1897(明治30)年の創立から120周年を迎えたことを記念し、酒田市と共催。最上町出身で、2014年8月に酒田市ふるさと観光大使に委嘱された関根さんが、交友関係のある河本さん、永嶋さんに呼び掛け実現した。約300人が聞いた。
初めに講師3人が一人ずつ登壇し、各社の歴史や「強み」を紹介。永嶋さんは従業員の意欲を高めるES活動として、上司が意欲的に働いている従業員にメッセージカードを贈る制度などを紹介し、「マンネリ化しないようにやっている。ライバルは同業他社ではなく、年々高まるゲスト(利用者)の期待感」とした。
河本さんはグループの行動指針として安全、お客さま視点、社会の責任など5つを挙げ、「その実践には意識と仕組みの両方が大切」と説明。安全意識を高める仕組みについては「気付いたことを声に出しやすい風土づくりが重要」として、お願いする、声に出す、感謝するのサイクルを奨励する「G・ASSERTION」の取り組みを紹介した。
関根さんは自社の強みとして高い技術力や徹底した安全追求などとともに、ヒューマン・セントリック(人間中心)を強調。「通販など人を介さない販売割合が増えているが、わが社は『その人から買いたい』など『人』を大事にしてきた。今後も人によるおもてなしを通じ永続的に成長したい。それには一期一会の精神が大事」とした。
続く鼎談では「輝いて働いている人に『素晴らしかった』などメッセージを添えてカードを渡す。もらうとモチベーション(意欲)がすごく上がる」(永嶋さん)、「自分を見てくれている人がいることがうれしい。『あなたを見てるよ』という小さな声掛けの積み重ねが大切」(河本さん)、「BC(美容部員)が会社を支えていることを管理職に理解してもらうため、アワード(表彰制度)を設けた。推薦や審査を通じBCの活動が分かり、モチベーションが上がった」(関根さん)など、意欲を持ち、輝いて働くための環境づくりなどについて活発に意見を交わした。