2017年(平成29年) 11月2日(木)付紙面より
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鶴岡市教育委員会は31日、地方の文化向上に尽くした人に贈る「高山樗牛賞」の本年度受賞者に、地元ゆかりの文学者の評伝などの創作活動を続けている戸村雅子さん(76)=鶴岡市本町三丁目=を決め、発表した。小中学生を対象とした同賞の奨励賞には朝暘一小6年の佐藤隆晴さん(12)と朝暘二小6年の五十嵐美咲さん(12)の2人が選ばれた。授賞式は11月29日に同市のグランドエル・サンで行われる。
樗牛賞は、歴史小説「滝口入道」などで知られる庄内が生んだ明治の文豪・高山樗牛(1871―1902年)の偉業を顕彰し、地方文化の向上を目的に樗牛出身地の同市教委が1958年に制定。庄内に居住し、文芸、評論、作文などで功績のあった人に贈られている。今回が60回目。
樗牛賞を受賞する戸村さんは大石田町生まれ。同志社大文学部卒。国語教師として鶴岡田川地区の県立高校に赴任し、2002年に定年退職。「茨木のり子 六月の会」事務局長、「子どもの読書を支える会」代表・事務局長を務め、「この本だいすきの会」庄内支部会員。
自宅を開放して家庭文庫を開設し、子どもの読書活動を行うほか、地元の児童文学者・赤木由子の研究など地域文化の向上に取り組んできた。
25年ほど前から鶴岡ゆかりの詩人・茨木のり子の詩の研究を始め、本人の自宅を訪れるなどして交流を深め、昨年、評論集「茨木のり子への恋文」を発刊した。「現代詩の長女」と称される茨木のり子と庄内とのつながりを明らかにするとともに、詩と創作の背景に庄内があることを広く知らしめ、地方文化の啓発・向上に大きく寄与した功績が高く評価された。
受賞に戸村さんは「とても光栄なことで、戸惑いつつ驚き、責任の重さを感じている。茨木さんの詩については、もっと研究を深めたいと思っていて、この受賞を機にもう少し頑張りたいと思う」と喜びを語った。
奨励賞に決まった佐藤さんは昨年の「怪盗大三角あらわる」に続き、本年度は続編の「怪盗大三角を追え」と題した小説を書き、推理小説に歴史小説の要素を取り入れたストーリーの構成力が評価された。五十嵐さんは詩や短歌、随筆などさまざまな形で自分の感情や考えをつづる作品集「命の虫めがね」を書き続けており、日常の中の細やかな観察による繊細な表現など豊かな感受性と優れた表現力が評価された。
2017年(平成29年) 11月2日(木)付紙面より
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鶴岡市の加茂水産高校(坂尾聡校長、生徒124人)の伝統行事「水納め」が1日、同校裏の加茂レインボービーチで行われた。生徒たちが海での学びに感謝しながら、秋の海に飛び込んだ。
マリンスポーツやフィッシングなど海での授業が終わるこの時期に合わせて行っているもので、1946年の開校以来欠かさず続けている。72回目の今回は漁業実習中の生徒などを除く88人が参加した。
同校によると、この日午前11時の気温は14度、海水温17・0度で例年並み。ほぼ無風で恵まれたコンディションとなった。
周辺で保護者や地元住民が見守る中、海岸に整列した生徒たちは「ワッショイ、ワッショイ」と両手を上げて屈伸する裸体操で気合を入れて海へ。互いに水を掛け合うなど余裕も見せながら約50メートルを泳いだ。水から上がった後は、たき火で体を温めた。
卒業後は船乗りを目指して他県へ進学予定という3年の中村翼さん(18)は「3年間で一番暖かかった。内陸出身の自分にとっては庄内の海は特別な場所。感謝を込めて取り組めた」と話していた。