2017年(平成29年) 12月5日(火)付紙面より
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江戸時代まで羽黒山の参拝道に使われていたという古道を再生しようと3日、鶴岡市羽黒町手向地区で古道に木材チップを敷く作業が行われた。主催した手向地区自治振興会(勝木正人会長)では里山歩きや歴史の道などとしての活用を目指している。
かつて出羽三山詣での入り口だった手向地区の黄金堂付近から山中を通って、石段を使わずに国宝羽黒山五重塔に通じる道があったという。別当・天宥の時代ごろまで使われていたとみられるが、その後の明治の廃仏毀釈(きしゃく)や町道・林道の整備で現在は使われていないという。
同振興会では、住民協働の地域の魅力づくりとして古道の再生に着手。本年度はボランティアで下草刈りなどを行い、県のみどり環境税を活用し木材チップの敷設を実施。温海町森林組合から杉のチップ50立方メートルを購入し、手向地区地域活動センターを拠点に古道の3分の1ほどの距離となる1キロにわたりチップを敷いた。
石段周辺の杉並木を思わせる木立の下で、呼び掛けに応じた住民約60人が手作業で敷設。袋いっぱいのチップを両手で運んで歩き、敷き詰めていった。
来年度も引き続き整備を続け、散策路として活用していく予定。同自治振興会の勝木会長は「門前町といわれても宿坊街を歩く人はいない。この道を活用して歩いてもらい、地域の滞在時間を長くして活性化につなげられたら」と話している。
2017年(平成29年) 12月5日(火)付紙面より
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11月に栃木県で開かれた第55回技能五輪全国大会で、日本料理職種に県代表として出場した鶴岡市立加茂水族館の魚匠ダイニング沖海月の調理師、山口明日香さん(22)が銅賞を受賞した。山口さんは「師匠の指導のおかげ。来年は金賞を目指す」と話している。
技能五輪は23歳以下の青年技能者の技能レベルの日本一を競う技能競技会で、厚生労働省と中央職業能力開発協会などが主催して毎年開催。今年は栃木県宇都宮市などを会場に11月24―27日の日程で開かれ、全国から42職種計1340人が出場。本県からは20職種計38人が出場した。
山口さんは庄内町余目出身。天真学園高食育調理科卒後、地元の飲食店を経て、日本料理の道を究めたいと、2015年8月から沖海月で勤務。須田剛史料理長は天真学園高の日本料理講師でもあり、山口さんも指導してもらっていたという。昨年初めて技能五輪県予選に出場したが、予選敗退。今年こそは、と悔しさをばねに師匠の指導の下、課題の練習に取り組んできた。
日本料理職種の競技では、伝統の味と技を、基本を守った上で手際よく表現することが求められる。「小鯛(こだい)活なます姿盛り」「牛蒡(ごぼう)と鴨(かも)の小袖焼き・菊花蕪(かぶ)甘酢漬け」「芋寿司手綱巻き・蓮根(れんこん)甘酢漬け」の3つの課題をそれぞれ50分の制限時間で仕上げる内容。全国から集まった73人が技を競った。
大会では分単位の綿密なマニュアルを自作して臨み、「自分でも1品目、2品目と順調に進んでいるのが分かった」。3品目で食材を落とすハプニングはあったが「これまでで一番うまくできた」と振り返る。結果は銅賞。庄内勢としては初の快挙という。「4位の敢闘賞を目指していたのでびっくり。いろんな思いが込み上げてきた」。会場で見守っていた須田料理長も喜びを分かち合った。
大会を終えて銅賞の喜びをかみしめるのもそこそこに、既に来年の大会を見据えている。「目をつぶってでもできるように、さらなる高みを目指したい」と意気込む。