2017年(平成29年) 6月16日(金)付紙面より
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酒田市の6月定例市議会本会議の一般質問で14日、市が今春に作成した津波ハザードマップの配色が話題になった。浸水エリアの浸水深を示す色が青系統が中心なのに対し、マップ作成の基となった県の津波浸水想定図や鶴岡市、遊佐町の他の沿岸2市町のハザードマップではいずれも赤系統が中心になっているため。指摘した議員が「近隣自治体で違うと混乱を招く。統一すべきでは」と迫ったのに対し、市当局は「市民はこの配色に慣れており、変更するとかえって混乱を招く」と反論した。
津波ハザードマップは、県が昨年3月、「最大クラスの津波」(政府が2014年8月に公表)に基づいて公表した津波浸水想定・被害想定を基に、沿岸各市町が今年3月に作成。浸水エリアや浸水深、避難場所、避難経路などを示した。
浸水深はいずれも色の違いで深さの違いが示されている。県と遊佐町は浅い方から順に緑、黄、オレンジ、ピンク、赤、紫、鶴岡市は薄いオレンジから濃いオレンジと、いずれも赤系統の色を中心に、赤が濃くなるほど浸水が深くなる配色だ。これに対し酒田市は黄、緑、水色、青、紫と青系統が中心。また、計算上は浸水しないが、予測の不確実性を踏まえると浸水の可能性があるバッファゾーン(要避難地域)を赤色で示し、全体として赤から青が濃くなるほど浸水が深くなる配色となっている。
市議会一般質問でこの色の違いを指摘したのは、江口暢子氏(市民の会)。江口氏は、生活圏が広がり、酒田―鶴岡間で行き来する人も増えていることなどを示しながら、「近隣自治体で色が違うと混乱を招くのでは。統一を話し合うべきでは」とただした。
これに対し、永田斉危機管理監は「浸水想定は県、ハザードマップは各市町村が作る。本市は可能な限り見やすく、混乱しないよう、従前の配色を継承した。市民から配色は変えないでほしいという声もあり、今のところ変更は考えていない。むしろ今から変更する混乱の方が心配」と答えた。
江口氏が「防災対策は一律であるべきでないが、違ってはいけないものもある」と食い下がったのに対し、永田危機管理監は「統一は理想だが、市では十数年前(2004年3月)から洪水ハザードマップを作り、津波のマップも同じ色で示した。県の浸水想定図を住民に配布した時、『なぜ色を変えたのか』と指摘され、県の想定図と市のマップの違いを説明した。(統一を話し合う)何らかの機会があれば、取り組みたいが、今はこの形でいきたい」と理解を求めた。
市危機管理課によると、ハザードマップは地域の住民向けで、同市では観光客らも安全に避難できるよう浸水エリアに避難誘導看板の設置を進めている。今後も多様な対象を想定し、多面的な対策を推進していく必要性を強調している。
2017年(平成29年) 6月16日(金)付紙面より
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鶴岡市青龍寺の金峯神社(佐々木孝善宮司)で15日、例大祭が行われた。新緑の中、参列者たちが家内安全や無病息災を願い、名物の手作りところてんを味わった。
例大祭の直会で参列者にところてんが振る舞われることから「心天(ところてん)祭り」とも呼ばれる。同神社は由良など海岸線の信者が多く、かつて漁師たちが金峰山の木を海上からの目標林とし、海上安全などを願い信仰したことから供物の海藻(テングサ)のお下がりをいただいたという説や、梅雨の時期に胃腸をきれいにするためところてんを食べ始めたなど諸説ある。
この日は午前10時から参列者約50人が参加し、中の宮の拝殿で神事。祝詞奏上や雅楽の音色に合わせて巫女舞などが奉納された。同時間帯に中の宮の社務所では、調理場でところてんの準備。テングサを丁寧に木づちでたたくなど3日がかりで金峰山の湧き水を使って仕込んだところてんを昔ながらのてんつきで押し出し、皿に盛っていった。
今年から社務所前にテントを設置し、一般の観光客にもところてんを振る舞った。ところてん作りを担当した金峯山観光協会の石川保太郎会長は「ところてんが固まってから2日は湧き水にさらしてくさみを抜いた手間暇かけたもの。手作りならではの味を一般の方にもぜひ味わってほしい」と話していた。