2017年(平成29年) 6月17日(土)付紙面より
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酒田市が市民健康センター(船場町二丁目)1階に開設した市子育て世代包括支援センター「ぎゅっと」オープニングセレモニーが16日、同所で行われた。保健師ら母子保健コーディネーター4人が常駐し、妊娠から出産、子育てまで切れ目のない総合相談などで子育て世代と子どもたちを支援していく。
国が少子化対策でフィンランドのシステム「ネウボラ」(アドバイスの場の意)に倣い、全国の自治体に設置を進めている。妊娠、出産、子育ての各種相談や支援サービス提供などの窓口を一本化し、継続的な支援で子育てしやすい環境づくりを進める。
酒田市では今年4月1日に市民健康センター内の一室に仮オープンし、その後、広さ80平方メートルの専用スペースを確保してカーペットを敷くなど改修し、今月1日にグランドオープンした。愛称「ぎゅっと」は母親が子どもを抱き締めるように、地域全体で子育て世代や子どもたちを優しく支援していく願いを込めた。
常駐する母子保健コーディネーターは保健師2人、助産師、看護師各1人の計4人で、うち助産師と看護師は新たに採用した。各種相談やアドバイスを行うとともに、従来の「マタニティー教室」のほか、新規に「産後の骨盤ケア教室」「母乳ミルク相談室」、日本海総合病院の空きベッドを活用した「産後ケア」(宿泊型)など支援事業も展開していく。想定する相談は、「初めての妊娠、出産で分からないことがある」「子育てに協力してくれる人が身近にいない」「母乳が足りているか分からない」「思いがけない妊娠で、仕事との兼ね合いも含め子育てが不安」など。
同市では従来、市民健康センターで母子手帳を交付する時、各種相談に応じていた。この時以外でも随時、相談は受け付けていたが周知は徹底されておらず、体制も十分とはいえなかったという。「ぎゅっと」開設で子育て世代が気軽に訪れ、悩みや不安の解消につながると期待されている。
セレモニーは9カ月児健診に合わせて行われ、市の岩堀慎司健康福祉部長が「悩んだとき、支援が必要なとき、気軽に相談を」と母親たちに呼び掛けた。
相談対象はおおむね就学前までで、当面は、特に妊娠期から生後3カ月児までの支援に力を入れるという。開設は平日の午前8時半から午後5時15分までで、7月からは第2、第4土曜日の午前中も開設する。問い合わせはぎゅっと=電0234(26)4199=へ。
2017年(平成29年) 6月17日(土)付紙面より
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1964(昭和39)年に新潟地震で幼児3人が犠牲になった鶴岡市京田地区で16日、避難訓練や追悼式が行われた。地元の京田小学校(布川敦校長、児童85人)では、避難訓練を行い「自分の身は自分で守る」という防災意識を高めるとともに、追悼式で犠牲者の冥福を祈った。
新潟地震は新潟県粟島付近を震源とし、マグニチュード7・5を記録。庄内地方では鶴岡市で当時の京田幼児園の園児3人が全壊した園舎の下敷きになり、酒田市では酒田三中の生徒1人が地割れに落ちるなど、計9人が犠牲になった。
これを教訓に、京田地区では新潟地震が発生した6月16日に合わせて毎年、地元の京田小やほなみ保育園が避難訓練や追悼式を実施している。京田小での追悼式は今年で53回目となった。
この日は初めに地震を想定した避難訓練。サイレンが鳴った後、「地震が起きました。安全な方法で身を守りなさい」とアナウンスが入った。揺れが収まったとして、児童たちは教室から体育館へ移動。教室に装備してある学年別の色違いのヘルメットを着用し、階段は上学年は右側、下学年は左側と交錯しないように工夫し素早く避難した。
引き続き追悼式が行われ、布川校長が当時の被害状況を説明しながら、「何よりも大事なのは悲しい出来事を絶対に繰り返さないこと。自分の命は自分で守ることをしっかり頭に入れて」と呼び掛けた。その後、代表児童6人が家庭から持ち寄った花束が飾られた祭壇に花をささげた。
最後に6年の後藤芳弥君が「祖父から聞いた話だと、前触れなく揺れが起き、僕の家の近くのおじさんの家の弟も亡くなった。自然災害はいつ起こるか分からない。落ち着いて行動し、地震が起きたら足腰の弱い祖父を助けたい。日々の備えをしっかりすることを約束しよう」と話した。
その後は各教室で防災学習のDVDを見るなどし学習を深めた。