2024年11月28日 木曜日

文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2017年(平成29年) 8月11日(金)付紙面より

ツイート

「北前船」の学び発表 北海道小樽市でこどもサミット

 江戸時代から明治にかけて日本経済の大動脈となった北前船航路の各寄港地を代表する子どもたちによる「北前船 北海道こどもサミット」が7―9の3日間、北海道小樽市で開かれた。山形県からは小学5、6年生6人が参加し、北前船について学んだことを発表した。

 海への親しみを深めてもらおうと日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」の一環。山形代表の6人は先月9日に酒田市や河北町で行われた「やまがた北前船こども調査団」に参加し、北前船がもたらした文化や歴史を学んだ。

 サミットには山形、福井、新潟、秋田、青森の各県と北海道の代表も参加。8日に行われた各地の調査結果発表では6道県の子どもたちが制作した「北前船新聞」を基に各地の北前船の関わりを発表。山形県代表の6人は「紅花との交換で運ばれた文化」をテーマに発表。紅花と紅花染めのハンカチを見せながら「高価な紅花は紅もちに加工され北前船で運ばれた。加工すると2、3年持ち、紅花染めなどに利用された」と説明。北前船で財を成した酒田の本間家については「本間家三代目の本間光丘は石川県から北前船で運んだクロマツを海岸沿いに植えて防砂林を築いた」と発表した。

 サミットではほかに、ニシン漁で富を築いた青山家が酒田市の本間邸をまねて建てた別荘・旧青山別邸(国登録有形文化財)の見学や小樽運河クルーズなどを体験。最後に「北前船が残してくれた宝物と交流で得たつながりを家族や友だち、そして未来に伝えていきます」と北前船北海道こどもサミット共同宣言を発表した。

 代表で共同宣言を述べた酒田市富士見小6年の工藤苺香さん(11)は「参加には不安もあったけど、他県の友達も含めてみんなと打ち解けて楽しかった。山形県だけでなく、他の地域の北前船の歴史についてもたくさん学べたので、帰ったら友達にも話したい」と話していた。

北前船で運ばれた紅花を見せながら、山形代表の子どもたちが調査の成果を発表した
北前船で運ばれた紅花を見せながら、山形代表の子どもたちが調査の成果を発表した

小樽運河クルーズを楽しむ子どもたち。3日間の学習を通して北前船の各寄港地代表が交流を深めた
小樽運河クルーズを楽しむ子どもたち。3日間の学習を通して北前船の各寄港地代表が交流を深めた


2017年(平成29年) 8月11日(金)付紙面より

ツイート

「鶴岡の学校給食」初の体験プログラム 発祥の地訪問やおむすび作り

 鶴岡まちづくり塾(平智代表)が企画した夏休みイベント「つるおか給食探検隊!」が9日、鶴岡市内で行われ、小学生の親子連れが給食発祥の地・大督寺や昼食のおむすび作りなどで学校給食に理解を深めた。

 同塾が今年4月に出版した学校給食についての書籍「もいちど、食べたい」を元に、鶴岡の学校給食に関する体験プログラムとして初めて企画。夏休み中の小学1―6年の親子12組25人が参加した。

 この日は市役所を出発し、最初に大督寺を見学。その後、同市白山の学校給食センターで学校給食ができるまでを追った映像「おらほ自慢の給食センター」の視聴などをした後、櫛引公民館で農家レストラン「知憩軒」の長南光さん(68)=西荒屋=を講師におむすびと大根とニンジンのきんぴら作り。根菜は皮つきのまま拍子木切りにし、みそと砂糖で味付け。おむすびは食べる分を子どもたちが塩むすびにして昼食で一緒に味わった。

 大山小2年の富樫優衣さん(7)は「火を使うのが初めてだったので心配だったけど、お料理は楽しかった」と話し、一緒に参加した母親の洋子さんは「村山出身で学校給食を食べたことがなく自分が興味があって参加した。安全な食に向けていろんな方の思いがこもっているのが分かり感動した」と話していた。

 昼食後は月山高原に移動しジャガイモの収穫体験を行った

熱々のご飯を握って塩むすびを作る親子たち
熱々のご飯を握って塩むすびを作る親子たち


2017年(平成29年) 8月11日(金)付紙面より

ツイート

森の時間115 ―山形大学農学部からみなさんへ―

素数の妙技 小山 浩正

 17年ゼミという蝉(せみ)が北米で時々話題になります。17年間を蛹(さなき)で過ごし、最後のわずか10日だけ成虫として地上に現れます。きっちり17年に一度だけ大量発生し、残りの期間は一匹も姿を見せない奇妙なセミです。最近は2007年にシカゴで発生し、その数50億匹と試算されました。次の発生は確実に2024年です。なぜ、毎年出てこないのかといえば、時間を置いて一斉に現れた方が天敵に捕まる確率が低くなるからという説が有力です。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というわけです。

 17という素数にも意味があるとされます。実は、北米には13年ゼミという別種の素数ゼミがいます。素数は1とそれ自身以外に約数を持たない数なので、素数どうしの最小公倍数はとても大きくなります。つまり、両者が重なる機会はかなり減るのです。これがもし素数でない間隔、例えば10年ゼミと15年ゼミだったら30年に一回は両者がシンクロしてしまい異なる種同士で交雑が起きます。その結果、中間の12年ゼミとか14年ゼミも生まれてしまうかもしれません。そんなことが続けば、やがて毎年セミが現れることになり、天敵から逃れる効果を損なってしまいます。互いに重なりにくいのが素数の意義だったのです。

 さて、鶴岡市朝日地域の「田麦橋」は、13年に1度架け替えをする約束になっていたそうです。ところが、木造の橋は材木を大量に使うので次第に周辺から良材を調達するのが大変になってきたという記録が残っています。森が豊かな朝日地域でさえ森林資源は疲弊(ひへい)していたことがうかがえます。ところ変わって、静岡県の大井川上流に架けられた刎橋(はねばし)の変遷も見てみましょう。近年の調査によれば、江戸時代に上流で森林が伐採されて以降、この橋の長さは架け替えごとに70メートルから100メートルまで10メートルずつ長くなっていたことが明らかにされました。伐採を境に洪水が頻発して河岸が削られた結果、川幅が広くなったからです。そして、この橋の架け替えも13年と決められていたといいます。どちらの橋も同じ素数が使われていました。区切りのよい10年や15年でなく13年なのはセミと同じ理屈でしょう。改修しなければならない橋は田麦橋や刎橋だけではなかったはずです。一つの橋を改修するだけでも大量の材木が必要なのに、それが重なってしまえば負担は一度にやってきます。橋同士の改修が重ならないようにするために、それぞれの間隔を素数に設定したのではないでしょうか。同調すると不都合が生じる時にヒトも生き物も素数を採用する知恵が生まれたと思えてなりません。

 長野県出身の学生が、御柱祭をはじめ地元の祭りがことごとく7年毎だと教えてくれました。これも同じ理屈かもしれない。そういえば、お寺の法要も三、七、十三、十七回忌と、素数が多く使われます。同調しないで欲しい理由が、どこかに、あるいは誰かにあるのでしょうか。これ以上書くと、営業妨害になりかねないので、あとはご想像にお任せします…。

(元山形大学農学部教授 専門はブナ林をはじめとする生態学。筆者は昨年3月に急逝されました。原稿は生前に寄稿していただいていたものです)

田麦川に架かる現在の田麦橋=自然写真家・斎藤政広(2017年5月26日撮影)
田麦川に架かる現在の田麦橋=自然写真家・斎藤政広(2017年5月26日撮影)



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

  ■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

ニッポー広場メニュー
お口の健康そこが知りたい
気になるお口の健康について、歯科医の先生方が分かりやすく解説します
鶴岡・致道博物館 記念特別展 徳川四天王筆頭 酒井忠次
酒井家庄内入部400年を記念し、徳川家康の重臣として活躍した酒井家初代・忠次公の逸話を交え事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第2部 中興の祖 酒井忠徳と庄内藩校致道館
酒井家庄内入部400年を記念し、庄内藩中興の祖と称された酒井家9代・忠徳公の業績と生涯をたどる。
致道博物館 記念特別展 第3部 民衆のチカラ 三方領知替え阻止運動
江戸幕府が3大名に命じた転封令。幕命撤回に至る、庄内全域で巻き起こった阻止運動をたどる。
致道博物館 記念特別展 第4部 藩祖 酒井 忠勝
酒井家3代で初代藩主として、庄内と酒井家400年の基盤を整えた忠勝公の事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第5部 「酒井家の明治維新 戊辰戦争と松ケ岡開墾」
幕末~明治・大正の激動期の庄内藩と明治維新後も鶴岡に住み続けた酒井家の事績をたどる。
酒井家庄内入部400年
酒井家が藩主として庄内に入部し400年を迎えます。東北公益文科大学の門松秀樹さんがその歴史を紹介します。
続教育の本質
教育現場に身を置く筆者による提言の続編です。
教育の本質
子どもたちを取り巻く環境は日々変化しています。長らく教育現場に身を置く筆者が教育をテーマに提言しています。
柏戸の真実
鶴岡市櫛引地域出身の大相撲の元横綱・柏戸の土俵人生に迫ります。本人の歩み、努力を温かく見守った家族・親族や関係者の視点も多く交えて振り返ります。
藤沢周平の魅力 海坂かわら版
藤沢周平作品の魅力を研究者などの視点から紹介しています
郷土の先人・先覚
世界あるいは全国で活躍し、各分野で礎を築いた庄内出身の先人・先覚たちを紹介しています
美食同元
旬の食べ物を使った、おいしくて簡単、栄養満点の食事のポイントを学んでいきましょう
庄内海の幸山の幸
庄内の「うまいもの」を関係者のお話などを交えながら解説しています

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field