2017年(平成29年) 8月9日(水)付紙面より
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鶴岡市の致道博物館(酒井忠久館長)にある国指定重要文化財「旧鶴岡警察署庁舎」の保存修理工事現場で7日、報道関係者向け説明会が行われ、明治の創建当時と同じ鮮やかな水色に塗られた外壁が初めて公開された。建物全体の素屋根とネット状の覆いは早ければ今月下旬から取り外しが始まり、市民が慣れ親しんだ工事前の白色の外壁とは異なる約130年前の「水色の擬洋風建築の警察署」の姿が間もなくお披露目される。
旧鶴岡警察署庁舎は1884(明治17)年、現在の鶴岡市役所の南東角(旧東庁舎)に建てられた。同博物館の敷地内に移設された旧西田川郡役所(国指定重要文化財)を建築した高橋兼吉棟梁(とうりょう)が設計。初代山形県令・三島通庸が明治新政府の威容を示すために建築したといわれる。1957(昭和32)年に現在地に移築され、2009年12月に国の重文に指定された。
県内の明治初期の擬洋風建築を代表する建造物の一つ。木造2階建てで、2階正面の中央には突出したベランダが設けられ、外部の窓回りなどはルネサンス様式を模しているが、屋根の破風妻飾りなど在来様式も取り入れ、和洋の要素を巧みに融合させている。建物の傷みが目立つなど老朽化してきたため、同博物館が13年度から国や県、市の助成と一般からの募金で、解体を伴う保存修理を進めている。
工事は現在、終盤に入っており、外壁の塗装と内部の左官などが行われている。外壁の色は、工事に合わせて実施された調査で、明治の創建時は水色だったことが分かり、文化庁と協議し内部の構造とともに創建時の姿に戻すことにした。
工事の完了は18年6月を予定していたが、解体後の組み立て作業が順調に進み、今年12月に早まる見通しとなった。これに伴い、総事業費は当初より500万円減の5億500万円となる。建物を所有する致道博物館は、来年中の内部の一般公開を予定している。
2017年(平成29年) 8月9日(水)付紙面より
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昭和女子大(東京都世田谷区)の学生がインバウンドツアーの創出に向けて鶴岡の食文化体験に理解を深めるインターンシッププロジェクトが、9日まで2泊3日の日程で鶴岡市内で行われ、在来作物などに理解を深めている。
「プロジェクト型協働インターンシッププログラム」として、鶴岡市をフィールドに昨年度から3カ年事業として実施。体験を通し、学生の視点から見た新しいインバウンドツアーの創出を目指し、本年度は継続している学生を含め学生5人、イタリアからの留学生1人が参加。4月から来年2月にかけて全6回の日程で鶴岡を訪れ、食や行事、歴史などに理解を深める。
本年度3回目の来鶴となる今回は、同プログラム担当の同大地域連携センター所長の志摩園子人間社会学部長と共に7日から2泊3日の日程で訪問。初日の7日は、午後から同市大山一丁目の漬物会社「本長」で工場見学や今月が最盛期の在来作物「民田ナス」の浅漬け作りを体験。1人ずつ民田ナス300グラムをナス漬けの素を使って2分ぐらい手でよくもみ、他の調味料を加えて漬けた。既に漬けた民田ナスと、一般的な沖田ナスを食べ比べると、「みずみずしくておいしい」「皮が薄く実がパンパン」などと民田ナスの特徴に触れていた。
メンバーの1人、大学2年の山下茉美さん(19)は「鶴岡は初めて。栄養士の養成コースで勉強してきたが、実際の1次産業を学べる機会。地元の方がすごく親切に教えてくれて楽しい」と話していた。
今後、由良でカキの加工体験やところてん作り、だだちゃ豆の収穫体験などを行う。インバウンドツアーは来年度に実施する計画。