2019年(令和1年) 11月10日(日)付紙面より
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かつて庄内の春の風物詩として親しまれた「いこいの村庄内のチューリップ園」の来春の復活に向けた作業が進んでいる。チューリップ園の管理組織の立ち上げや、開花時期に合わせて長年実施されてきたイベントの開催も計画中という。9日、鶴岡市千安京田の現地で、跡地利用を検討する関係者らにより球根約2万2500球の定植作業が行われた。
同チューリップ園は、最盛期で70アールの広さに50種計10万球が植えられ、開花時期には数万人でにぎわう観光資源だったが、2016年の施設閉館に伴い放置されていた。翌17年からは、敷地所有者の県の許可を得た地元の有志やNPO法人などによる球根の掘り起こしや手入れといった保全活動が取り組まれていた。
このたびのチューリップ園の再生活動は、鶴岡市が旧いこいの村庄内の施設を活用して進める「市立農業経営者育成学校」の来春の開校に伴う施設跡地環境整備の一環。球根保全に関わったNPO法人おうらの里おおやま再生プロジェクトチューリップ球援隊を実施主体に、市の助成金で購入した2万2500球と、かつていこいの村庄内に植えられていた約5000球を定植する。来年春の時点で、最盛期の面積の2分の1ほどを復活させる計画。
この日の定植活動は、小雨の中行われ、施設周辺の自治会や森林組合、旅館など観光業関連をはじめ、農業経営者育成学校の関係者、同市など11組織でつくる「旧いこいの村庄内跡地利用の検討に係る意見交換会」のメンバーなど合わせて約80人が参加。球根植え付けの間隔など、かつてのチューリップ園の再現を目指して行われた。
この日ボランティアで参加した同市双葉町の会社員、阿部由美さん(50)は、かつてのチューリップ祭りにクラフト出店で関わってきた。「作業してみて、チューリップ園整備の苦労を実感。家族が絆を深めるような場所になれば。来春のチューリップ祭りにも準備から関わっていきたい」と話した。