2019年(令和1年) 11月14日(木)付紙面より
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酒田市のJAそでうら(五十嵐良弥組合長)が庄内柿を酒田港から香港に輸出することになり、トラック積み込み作業が12日、同市坂野辺新田の同JA選果場で行われた。市産業振興まちづくりセンター(サンロク)の仲介で農産物輸出業者「世界市場」(東京都、小山朝英最高経営責任者)が2回、合わせて約3・5トンを試験的に輸出するもの。航行中の約10日間を使い脱渋する方式で、異なる脱渋・予冷方法を組み合わせ約10種でテストし、結果を見て来年は25トン程度に増やす構想だ。
サンロクが2017年12月、世界市場と酒田産農産物の輸出に関する意見交換を始め、その後、地元の農協や生産者らと可能性のある作物などについて協議。その中で、JAそでうらが今年8月下旬から9月下旬にかけて5回、試験的にアールスメロン約1500玉(約2・4トン)を陸路で大阪に運び、関西空港から香港に輸出。香港・中国でレストランなど外食を展開する「香港マキシムグループ」がケーキなどの原料に使い、好評だったという。
今回は、新たな作物の可能性を探る中、豊作になった庄内柿に着目。いずれも香港でスーパーを展開する「イオンストアーズ香港」「一田(YATA)」に、酒田―韓国・釜山間の国際定期コンテナ航路を使い、輸出することになった。
輸出するのは庄内柿の主力品種「平核無(ひらたねなし)」465箱(1箱7・5キロ)。今月11日、17日の2回に分けて酒田港を出港する。それぞれ保冷機能が付いた20フィートのリーファーコンテナで、庫内温度を0度に保ったまま輸送する。
輸送中の脱渋方式は大きく分けて、固形アルコールを使うものと、脱酸素剤を使うものの2種。脱渋開始時期の違いや、脱渋を終えたものや、生のものを運んで香港で脱渋する方式を含め、計10種程度を試す。
12日のトラック積み込みは、17日出港分で、関係者が見守る中、コンテナを載せたトラックに柿の箱が積み込まれた。同JA営農販売部の庄子知之園特販売係チーフは「販路拡大や、生産者の高齢化が進む中で労力削減につながれば」と期待を語った。同JAの柿の生産量は年200トン前後で、柿の輸出は初という。
世界市場の小山氏は「香港で柿は人気があるが、スペインや中国産が主流。日本産も和歌山県産などが少し出回っているが、廃棄率が高く、高値になるので、買うのは富裕層が中心。価格を日本国内の1・5―2倍程度に抑えられれば、中間層も買えるので、うまくいけば大きな商品になる。当地ではほかに洋ナシも可能性がある」と語った。
サンロクによると、今回のように酒田港から果物が本格的に輸出されるのは初という。