2019年(令和1年) 12月14日(土)付紙面より
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鶴岡市と国内最大手のシンクタンク・野村総合研究所(東京、此本臣吾会長兼社長)は12日、地方創生に向けデジタル技術を活用して同市の構造改革に連携して取り組む基本合意書を締結した。デジタル化による「スマートシティ」の推進や効率的で質の高い行政サービスにつなげる「デジタルガバメント」の構築を目指す。野村総研が地方創生をテーマに地方自治体と連携するのは初めて。
野村総研は、慶應義塾大先端生命科学研究所と慶應先端研発バイオベンチャー企業、鶴岡高専など高等教育学術機関が集積する同市に着目。地方(ローカル)にありながら世界中とつながる機能(ハブ)を有し、地域の生産性を向上させ、自立的な産業・経済の構築が可能な都市「ローカルハブ」の構築を視野に入れ、同市に連携を申し出ていた。
市役所で締結式が行われ、皆川治市長と此本会長が基本合意書に署名した。皆川市長は「人口減少、少子高齢化の中で地方創生を進めるにはデジタル技術の活用が必要。地方でこそIT(情報技術)などデジタル社会の利便性が生きる。野村総研との連携で市の可能性を切り開くことを期待する」と話した。
これまでに同市のサイエンスパークなどを視察してきた此本会長は「鶴岡は研究機関やベンチャー企業が集まりポテンシャルが高いと実感した。地方創生を先導できる。構想段階から国の地方創生に関わってきた知見を生かし、鶴岡のデジタルガバメント構築やスマートシティ推進の施策づくり、実証事業を支援したい。鶴岡からデジタル化による都市のあるべき姿を全国に示したい」と述べた。
基本合意の有効期間は2022年3月までだが、延長もできる。野村総研は、同市に専門技術者ら担当者を派遣するなどして連携し、農業の生産性向上やバイオ産業の振興、中山間地の交通利便性向上、市民の健康増進、防災・減災対策などに関する実証実験や事業化を進める。