2019年(令和1年) 12月15日(日)付紙面より
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鶴岡市が来年4月の施行を目指す「障害者差別解消に関する条例」の最終案がまとまった。全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく、多様性を認め合いながら共に生きる社会の実現を掲げる。原案では条文に、配慮が必要と感じている障害者とその家族から積極的に声を上げてもらい周囲の支援につなげ、障害への幅広い理解の促進を盛り込んだのが特徴となっている。
同市は、2016年4月の障害者差別解消法と県条例の施行を踏まえ、障害者個人や家族、関係団体などから意見を聞くなどして市条例の策定準備を進めた。今年8月には障害者団体や福祉、医療分野の学識経験者ら委員27人による条例策定検討委員会(委員長・櫻井好和社会福祉法人恵泉会元理事長)を設置。13日に市役所で開かれた同委員会の最終会合で、櫻井委員長が皆川市長に最終案を手渡した。
市条例の最終案は、前文で「市、市民、事業者が一体となって障害を理由とする差別解消の推進に取り組む」とし、市の責務や市民の役割、事業者の役割、差別行為を受けた場合の紛争解決に向けた調整委員会の設置など21条で構成。
このうち市民の役割には、「市民は障害や障害者への理解を深める」との内容とともに、障害者や家族、関係者は合理的配慮が必要なとき、「その内容を周囲に伝えるよう努める」と項目を盛り込んだ。市民からの聞き取りの中で「外観だけでは分からない、目に見えない障害もある。周囲がサポートできるよう、障害者の方々から声を届けてほしい」との意見が多くあった。これに呼応して障害者団体側からも「共生のまちづくりに向け、自分たちも積極的に声を上げたい」との意向が示されたため、「必要なときは周囲に伝える」の文言を記した。
調整委員会については、策定検討委員会で、差別行為解決に向けた強制力のある「勧告」「公表」を規定するべきとの意見が出されたが、障害理解が不足している現状を踏まえ、当面は見送ることにした。調整委員会は関係分野の委員10人以内で組織し、市に対し差別事案に対する助言、あっせん案の提示を行う。
市条例の最終案については、来月にかけて市民の意見公募を行い、来年3月定例市議会に制定案を提案する。同市によると県内35市町村のうち7市町が条例を制定しているという。