2019年(令和1年) 7月23日(火)付紙面より
ツイート
第25回参院選は21日、投開票された。現職と新人2人の計3人が争った山形選挙区(改選数1)は、野党統一候補となったフリーアナウンサーで無所属新人の芳賀道也氏(61)=立憲民主、国民民主、社民、共産推薦=が、再選を目指した自民現職の大沼瑞穂氏(40)=公明推薦=と、政治団体「NHKから国民を守る党」新人の小野澤健至氏(49)を破り、初当選を決めた。山形選挙区の投票率は60・74%で、前回(2016年7月)を1・48ポイント下回った。
6年半にわたる安倍政権への評価、年金問題や消費増税、農業政策、憲法改正の是非などが争点となった今回の参院選。与党の自民、公明の両党は改選議席(124)の過半数(63議席)を上回る71議席を獲得。しかし自民単独では9議席を減らし、参院での単独過半数を割り込んだ。公明は3議席の増。この結果、自公と憲法改正に前向きな日本維新の会の「改憲勢力」では、改憲発議に必要な参院の3分の2(164議席)を維持できなかった。安倍晋三首相は同日夜のテレビ番組で、改憲について「しっかり議論しようという国民の声を頂いた。国会で議論が進んでいくことを期待したい」と述べた。
改選1議席を争った山形選挙区で、芳賀氏は27万9709票を獲得。26万3185票を獲得した大沼氏に1万6524票の差をつけた。小野澤氏は1万3800票と広がりに欠いた。自民は16年の前回に続く敗戦。参院選山形選挙区での連敗は初で、山形選挙区の2議席を失った。
無所属の芳賀氏は、立憲民主、国民民主、社民の各党に加え共産と連合山形から推薦を得て、野党統一候補として選挙戦に臨んだ。教育の無償化や奨学金拡充、都市と地方の格差解消などを公約に掲げ「非自民勢力」を結集。「地元で生まれ、地元をよく知る」と強調し、政党色を薄めた草の根運動を展開しながら無党派層への支持を広げた。また、農業者へ戸別所得補償復活などを強く訴え、元民放アナウンサーの知名度を生かしながら一部の農業票や保守票も取り込み、県内35市町村のうち20市町村でトップの得票となり、得票率は50・24%で大沼氏に2・96ポイントの差をつけた。
自民の大沼氏は、党組織を基に選対本部を組み、県内各市町村の首長や県農協政治連盟などの支援を受け、推薦を受けた公明と連携しながら分厚い組織力で選挙戦に臨んだ。しかし、序盤は選対本部全体の動きが鈍く、盛り上がりに欠けた。自公安定政権の重要性や6年間の実績を訴えたが、大票田の山形市など都市部で浸透し切れず、置賜地域は8市町全てで芳賀氏に敗れた。庄内地域でも鶴岡市を除く4市町で芳賀氏に差をつけられた。
小野澤氏は、芳賀氏と大沼氏による事実上の一騎打ちの中で埋没した。
県内の当日有権者数は92万5158人(男44万3007人、女48万2151人)。投票者数は56万1961人(男27万6020人、女28万5941人)、投票率は60・74%(男62・31%、女59・31%)。庄内地域の投票率は鶴岡市58・94%、酒田市56・30%、三川町61・64%、庄内町61・32%、遊佐町58・41%だった。
山形市城西町四丁目の芳賀道也氏の選挙事務所には午後7時すぎから、支援者らが続々と詰め掛けた。総合選対本部長の舟山康江参院議員をはじめ、推薦した連合山形幹部をはじめ立憲民主、国民民主、社民の各党県連代表、鹿野道彦元衆院議員、近藤洋介前衆院議員らが顔をそろえた。同8時半ごろ芳賀氏が事務所に入ると、支援者から大きな拍手で迎えられ、テレビの開票速報を見守った。
県内各市町村の開票が進んだ同10時20分ごろ、「当選確実」が報じられると、事務所内に割れんばかりの大歓声と拍手、「みちや」コールが湧き起り、支援者らと抱き合って喜びを爆発させた。
芳賀氏は「皆さんの『今の政治はちょっとおかしい、何とがさんなね』という思いが広がって勝ち抜けた。一人一人を幸せにするための政治を取り戻してほしい、地方をないがしろにするなという声が集まって、この結果になったと思う」と選挙戦を振り返った。
さらに「アナウンサーとして32年間、県内を回って皆さんのいろんな声を聞いてきた。今度は山形の代表として国に対し、ふるさと山形の現場の声をしっかりと届けていく」と抱負を語った。最後は全員で民放アナウンサー時代の決めぜりふ「ズームイン」を三唱し、喜びを分かち合った。
舟山総合選対本部長は「息をのむような緊迫した戦いだった。野党共闘の実現にこぎ着け、芳賀さんの生活に根差した生の声、現場の声を大切にしようという訴えが届き、政党だけでなく市民各層に支援の輪が大きく広がっていった。生活者の声を臆せず、ひるまず権力にぶつけていこうという芳賀さんの姿勢に、多くの皆さんの支援が集まった」と語った。
2019年(令和1年) 7月23日(火)付紙面より
ツイート
鶴岡市の中心市街地の5つの商店街が連携した「商店街連携ツナガル夏まつり」が20日夜、連続する山王、銀座、南銀座の3つの通りの約1・2キロ区間を歩行者天国にして行われた。さまざまな飲食の販売や多彩なイベントが各通りで繰り広げられ、家族連れなど大勢の市民でにぎわった。
山王、銀座、南銀座、みゆき、昭和の5つの商店街が、夏まつりイベントを同時開催することで盛り上げを図り、中心商店街に多くの市民を呼び込もうと、実行委員会を組織して初めて実施し、中心商店街に一大夏まつりロードを創出した。
山王通りでは恒例のナイトバザールを開催。フリーマーケットや屋台村、ミニコンサートなどで盛り上げ、銀座通りでは「ぎんざ夏まつり」を実施し、昭和通り、みゆき通り両商店街のブースも出店。南銀座通りではビアガーデン、よさこい演舞、ジャズコンサートなどを繰り広げた。浴衣姿の若い女性が目立ち、イベントに華やかさを添え、子ども連れや若いカップルらが車両通行止めとなった3つの通りを歩きながら、5商店街連携による夏の大イベントを楽しんだ。
実行委員長の鶴岡銀座商店街振興組合の阿部直人理事長は「何とか調整して本番を迎えられ、うれしい。初めての開催でさまざまな反省点が出てくるかと思うが、次回はさらなるにぎわいを創出できるよう頑張っていきたい」と話した。