2019年(令和1年) 7月26日(金)付紙面より
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県や鶴岡市、酒田市などが出資する第三セクター「庄内空港ビル」(酒田市、山下高明社長)は24日、更新した旅客搭乗橋(PBB)2基と、新規に導入した航空機地上支援車両(GSE)23台の安全祈願と供用開始の式典を同空港で開いた。
PBB(パッセンジャーズ・ボーディング・ブリッジ)は航空機とターミナルビルを結ぶ可動式の橋で、庄内空港には開港時の1991年に導入された東側の1号機、2006年に導入された西側の2号機の2基がある。老朽化が進み、更新が検討されていた中で、今年8月1日に東北初のLCC(格安航空会社)としてジェットスター・ジャパンが成田―庄内間に就航することもあり、これに合わせ更新した。
橋長は従来より4メートル長い30メートルで、ビル側の固定橋などとのつなぎ目は段差がほとんどないバリアフリー仕様。従来は小型機になるほど床面の傾斜がきつくなったが、新型は小型機でも傾斜は緩く、高齢者や車椅子利用者らも安心して通れるという。従来はなかったエアコンも付いた。導入経費は2基分で約1億4000万円。1号機が今月7日、2号機は同25日に供用開始された。
一方、導入したGSE(グラウンド・サポート・エキップメント)は受託手荷物を運ぶドーリー、同荷物を航空機の貨物室まで持ち上げるハイリフトローダー、航空機をバックさせるプッシュバックトラクターなど23台。ジェットスターやチャーターの機材が使うことを想定している。従来、チャーター便の就航時は、定期便を乗り入れている全日本空輸の車両を借りていたが、空港ビルが自前の車両を持つことで柔軟に対応でき、空港利用やインバウンド(訪日外国人旅行)の拡大につながると期待されている。
この日は同社や全日空、ジェットスターの関係者ら約30人が出席。PBB2号機側の固定橋で神事を行い、安全な利用を祈った後、全員で2号機を渡り初めした。引き続き搭乗待合室で行われた式典では、庄内空港ビルの山下社長が、導入設備の特色などを説明した後、「今後も空港のインフラ整備に努める」とあいさつ。関係者5人とテープカットし、供用開始を祝った。
2019年(令和1年) 7月26日(金)付紙面より
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出羽三山の“信仰の道”にスポットを当てた企画展「修験道中膝栗毛(しゅげんどうちゅうひざくりげ)」が、鶴岡市羽黒町手向のいでは文化記念館で開かれている。羽黒山の中興の祖・第50代別当天宥(てんゆう)が手掛けた道づくりや江戸時代の三山詣での隆盛を伝える貴重な史料を展示している。昨年に新潟県内の寺院で見つかった出羽三山の開祖・能除太子(蜂子皇子)の7体目とみられる像も県内初公開している。
天宥は江戸時代の参詣ブームの黎明(れいめい)期に、参詣者の増加を進めるため羽黒山の石段参道や女性参拝のための女人道を整備し、羽黒山、月山、湯殿山の参詣ルートを設定するなど出羽三山詣での道づくりに尽力。月山と羽黒山を天台宗に改宗し江戸幕府の守護を受け、信仰と行楽が一体となった修験の理想郷「羽黒山寂光寺」の完成を目指した。そうした天宥の事業や高僧天海との関わり、江戸庶民に信仰ブームを巻き起こした生き仏様・於竹大日如来のお竹信仰、三山の案内役を担った羽黒山伏などについてパネルで分かりやすく解説し、江戸時代の関連史料を中心に五十数点を展示。
県内初公開となる能除太子像は、新潟県村上市の大伝寺に安置されていた高さ約70センチ、幅約50センチの座像。ガラス製の玉眼の特徴から江戸期のものとみられる。能除太子像はこれまで県内で5体、岩手県で1体が確認されている。
「東照大権現(一品公辨親王筆)」の掛け軸や、蒼御紋が彫られた「東照宮経机」(いずれも出羽三山歴史博物館蔵)、日光山から羽黒山東照宮に寄付された散華供養に用いる「華籠(けこ)」(荒澤寺正善院蔵)などは羽黒山が江戸幕府の守護を受けていたことを物語る史料。このほか、羽黒山の全容を描いた「羽黒山絵図」(文政13年)、於竹大日如来と信仰を広めた玄良坊の姿が描かれた「於竹大日如来図」部分(玄良坊蔵)、湯殿山真言四カ寺の一つ金色山大日寺の「華鬘(けまん)」(塩田行屋大師堂像)など貴重な史料が訪れた人たちの目を引いている。
企画展は11月25日(月)まで。入館料は400円、高校・大学生300円、小・中学生200円。火曜日休館(7、8月は無休)。